LatestNews

2019.09.18

【キャンプ連載】自然体験に終わらず「心の教育」もできるキャンプへ。つわのこどもキャンプ2019を終えて①

 以前からツモヨでも取り上げている「つわのこどもキャンプ2019」(過去記事はこちらから)。無事に短期・長期の全日程が終え「来年もまた来るねー!」というこどもたちの声とともに、今年の夏も幕を閉じました。

 「正解がないなかで自分たちの答えを創る」というコンセプトの元実施されたキャンプでどんなことが行われたのか。またキャンプを終えた今、企画者はキャンプを通した教育の未来をどうみているのか。様子を映した写真とともに、企画者のもっちゃん(森本貴満)へのインタビュー内容をお伝えします。

|「正解がない中で、自分なりの答えを作る」キャンプ
ー今回のキャンプの概要を改めて教えてください。
 津和野町左鐙地区を中心に、津和野の大自然の中でさまざまな経験をしながら、子どもたちが「自分はどうしたい?」を考え、実践できるようフリープログラムの時間もたくさん設けたキャンプでした。先日すでに紹介してもらった短期ベーシックコースの内容に加え、長期チャレンジコースでは鶏さばきやいかだ作り、火起こしに挑戦しました。

(これからさばかれてしまう・・・)

(さばく様子に興味津々)

(さばいた鳥から卵が出てきた!)

(どこに包丁を入れればいいのかな)

(いかだづくり)

(出航準備ー!)

(いかだとしてはうまく浮かなかったけど、ひっくり返したら船みたいになった)

(みんなで川流れ〜)

(おにぎりも自分で)

(火起こし)

|津和野の雄大な自然を、思う存分楽しむ!一方で・・・
ー自然を満喫しながら、普段できない経験もたくさんできるキャンプ、とても気持ち良さそうですね。
 短期コースの方は、熱中症が心配になるくらい晴れの日が続いたので、山でも川でも思いっきり遊ぶことができました。

 しかし長期コースは天候にあまり恵まれず、快晴の日はほとんどありませんでした。そのため、鮎のつかみ取りも川でできなかったり、川遊びを中止して体育館遊びに変更したこともあったので、参加する子どもにとっては不満が溜まることもあったと思います。



(長期コースの鮎のつかみ取りは、近くの施設で行われました)

 その結果として長期コースの方では3日目の夜に、その後のキャンプの進め方を大きく変える出来事がありました。

ーどんなことが起こったのでしょうか。
 簡単に言うと、男子と女子の対立です。「女子がご飯作り全然手伝ってくれない」と怒る男子と「男子の方こそサボってばっかりじゃん。しかも嫌がらせしてくるし」と反論する女子。子どもたちのそういった気持ちがお互いに募り小競り合いが起こったため、キャンプ全体の雰囲気としても決して気持ちのいいものではありませんでした。

 そこで、スタッフとも相談をし、その日の夜に大人を含めたキャンプ参加者全員で今の気持ちを共有し、残りのキャンプをどうしていきたいかを話し合う機会を設けました。

ーその中ではどんな意見が出てきましたか。
 「キャンプで一緒に過ごす仲間としてお互いに言いたいことを言い合えていないよね」という話が出てきました。手伝ってほしいときには「手伝ってほしい」、休みたいときには「サボってるんじゃなくてたくさん働いたから休みたいんだ」と伝える。お互いに自分の気持ちにウソをつくことなく、思ったことを言い合い、言われた側も思いやりを持って接する。そんな「やさしいキャンプ」にしたい、ということを話し合いました。

|自分のやりたいキャンプができているだろうか。
ーそのような話し合いの場を通じて、もっちゃん自身は企画者としてどんなことを感じたのでしょうか。
 「正解がない中で、自分なりの答えをつくる」がコンセプトですが、「それって何?」とか「それができるキャンプになってるのか」というのは、キャンプが始まった時からスタッフに毎晩振り返りの際に問われていたことでした。

 今回の一件があったことで、改めて「自分が作りたいキャンプ」と「今作っているキャンプ」にギャップがあることに気づきました。

 自分でやるご飯づくりや自由遊びというプログラムを採用して、子どもたちがやりたいように、という場を作っていたはずが、時間刻みに詰め込まれたスケジュールになっていたため、「早く片付けて」なんて言葉を大人がかけざるを得ず、結果的に全部「やらされる」キャンプになっていたのだと思いました。これは「子どもたちが主役」や「自分で考えて答えを出す」ではなく「大人がやらせる」「空気を読んだ”正解”の行動をする」になってしまい、本来意図するものとは全然違うものになっていました。

 子どもたちに、当事者意識を持ってもらうために、大人側も手放しきれない部分があったなと思っています。

ー企画者川も葛藤していたのですね。その後はどのようなキャンプになっていたのでしょうか。
 4日目までは鶏さばき体験など決まったスケジュールがあり、ご飯づくりやお風呂などもみんなで一斉にやっていました。しかし5日目と6日目は全ての予定をまっさらにして、大人は安全管理に徹し、子どもたちが「なにをするか」を自分たちで考えて行動できるようにしました。

 ずっと遊んでいてご飯を食べそびれたり、片付けが終わらずに遊び時間が短くなったりということもありましたが、大人にあれこれ指示されることもなく自分たちで考えてイキイキと行動していたのが印象的でした。

 スケジュールも管理されていない「自由な時間」をきちんと設けることで「自分がどうしたいか」という気持ちに向き合って行動することができるキャンプにできたと感じています。

|自分らしくいられる上で、優しさもあるキャンプを作りたい。ーキャンプを終えた今、どんなことを考えられていますか。
 次回のキャンプ開催に向けて、大きく二つの方針が見えました。

 一つは、今回のキャンプでも大事にしていた「子どもが主体」という点。子どもたちが主体になることで「自分らしく生きること」を実感してほしいと思っています。

 そしてもう一つが「気持ちを伝え合える優しさのあるキャンプ」です。今回のキャンプで実感したのは、自分らしく生きるとは「自分勝手に生きる」ではないということ。

 キャンプ中、男女の諍いが起こったのも「俺は頑張ってるのに誰々が頑張ってない」という思い込みの押し付け合いがあったためでした。だけど、実際に聞いてみるとみんな同じくらい頑張っていて、同じくらいサボっていました。頑張ることが偉いとか、サボることがダメとかではなく、自分がしたい行動をするのであれば、嘘をつかずにその気持ちをちゃんと伝え合わないと、今回のような諍いが起こってしまうんだと思います。

 人と人は価値観が違うので、相手がどんなこと考えているかなんてのは、聞かないとわからない。思い込みで判断し続けることで、相手に対する不信感や疑念がどうしても生まれてしまいます。

 気持ちを伝え合っていけば、自分もみんなも幸せになれるような優しい世界が作れるんだと思いました。

 そういった「自分も、他人も幸せにできる心」は、というものは基礎学力を養うための「学校教育」や好奇心を引き出し積極的に学ぶ姿勢を養う「探求教育」とは全く別の部分で養われます。気持ちに向き合うこのキャンプだからこそ、それを育むことができると感じました。

 今回は「自分の気持ちのままに」というところに精一杯でしたが、次回以降は、その上でお互いの違いを認め合いながら思いやりをもって支え合える、そんなキャンプを作っていきたいと思っています。
 そこには、若者や大学生など既存の価値観に捉われず柔軟な視点を持っている方が関わるということが大事だと思うので、新しい教育の形に興味を持った人と、今後一緒に面白いものを作っていきたいです。

 津和野町の大自然を舞台に行われた、2年目の「つわのこどもキャンプ」。
 子どもたちのことを全力で考えながらも、企画者自身も学び・大きな挑戦をしていくことで、新たな教育の場を開拓しているように感じました。

 話を聞く中で、今回の大きな挑戦の背景には、スタッフとして協力をしてくれた町の人たちの存在が大きく関わっているようにも見えました。
 次回の記事では、そんなスタッフについても迫っていきます!

Other News

more