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日本最古の流鏑馬神事 迫力の瞬間をいつまでも

パーン!と的が割れる音とともに大きな拍手と歓声があがる。
疾走する馬に跨がり射手が3つの的を狙う『流鏑馬神事』は、春の津和野を代表する行事の一つです。

始まりは江戸時代にさかのぼる『流鏑馬神事』は、明治に入り近代改革などの流れによって途絶えてしまったそう。それから数十年後、「伝統・文化を継承していこう」と地元の有志によって昭和32年に細々と復活を遂げ、昭和51年には神事となりました。2019年で62年目を迎えます。

そんな歴史ある津和野の『流鏑馬神事』。ここからは流鏑馬と当日の様子をご紹介していきます。

|流鏑馬とは?

流鏑馬(やぶさめ)とは、疾走する馬の上から的に向かって鏑矢(かぶらや)を射る日本の伝統的な騎射の技術・稽古・儀式のことです。全国各地で行われており、京都の住吉大社や神奈川の鶴岡八幡宮で行われているものがよく知られています。

流鏑馬には、「小笠原流」と「武田流」の2つの流派があり、装束や式法、使用する的に違いがあります。津和野で行われる流鏑馬は小笠原流です。

 

|『流鏑馬神事』とは?


毎年4月の第二日曜に鷲原八幡宮で行われます。日本に現存する流鏑馬の馬場(※1)としては、最古のもので唯一原型をとどめている貴重な場所です。

 

『流鏑馬神事』は、八幡宮前で行われる神事に始まり、神事に終わります。馬にまたがる射手が矢で的を射るだけの行事ではないのです。

※1 馬が疾走する直線区間

 

 

 

|いざ、馬場へ。迫力の瞬間を見届けて。

神事が終わると、馬場に射手が入場します。
鎌倉時代の装束に身を包んだ射手が、馬と共に目の前を通り過ぎていきます。堂々とした姿に、これから始まる流鏑馬への期待も高まります。

 

射手の背に見えるのは「鏑矢」。この鏑矢を「陰陽(いんよう)」と叫びながら、馬場内にある直径50センチの的に3つ当てていくのです。馬に揺られながら正しい所作で全ての的に当てるのは、熟練者であっても至難の技。

 

入場が終わるといよいよ始まりです。ひらひらと桜の舞う中を、「インヨォーーッ!!」という声とともに、疾風のごとく駆け抜ける馬にまたがった射手が、弓を引き的を狙います。

 

パッカーン!狙いすました矢が的に見事命中すると、会場内から歓声と拍手が湧き上がります。ほんの十数秒の出来事ですが、子どもから大人まで釘付けに。

目の前を馬が駆け抜けていく音、射手の掛け声、迫力の瞬間をぜひ現地で体感してください。

 

 

|流鏑馬小話。

実は馬と射手、流鏑馬神事の前日に初めて出会います。射手は翌日の本番までの限られた時間で、餌やりやブラッシングなどの世話を通じて馬との関係性を築かなければいけません。

 

そうして本番を迎え、たくさんの観客の前で技を披露します。射手と馬の息の合った技が、短い時間の関わりで育まれていると思うと感慨深いですね。

 

 

 

|地元はもちろん、国内外からの観光客で賑わう会場

流鏑馬神事には、地元・津和野の人だけではなく、山口や広島など近隣のエリアや遠方からも多くの人がやってきます。また、日本の伝統文化を一目見ようと外国人の観光客も見かけました。

こちらは、馬が走るのを目の前で感じられる床几席(有料)。的の前などの指定はできませんが、より近くで流鏑馬を観覧したい!という方におすすめです。

 

 

会場内には、屋台も並びます。地元のものを使ったふき飯やおにぎり、弁当などが揃い、お昼時には賑わいを見せます。津和野銘菓「源氏巻」も、実演販売していました。

 

射抜かれた当たり的の行く末が気になった方もいるのではないでしょうか?
当たり的は、縁起物として玄関やお店に飾るかたも多いです。その場で筆を入れて希望者に授与しています。津和野まで流鏑馬を見に来た手土産にもぴったりです。

 

 

 


|おわりに

ほんの数十秒の迫力の瞬間。
次々と的に矢を命中させていく射手の姿は、本当に「かっこいい」のひと言。一年に一度しか見ることのできない流鏑馬は、これからも残しておきたい景色でした。

津和野の流鏑馬神事は、一度途絶えてしまいましたが、有志によって今日まで続いています。それは、射手には鎌倉の小笠原流の方を招き、馬ははるばる宮崎からきてもらうなど、本当にたくさんの方々の協力があってこそ。

近年では、地元の若い世代も流鏑馬神事に参加するようになり、2019年は地元・津和野高校の弓道部の生徒が神事に参加しました。若い世代と一緒になって取り組むことで、これから先も続いていく伝統となるように努力しているのこと。

その一方で有志の保存会からは、運営や費用に苦労しているという話もあり、いつ流鏑馬が見られなくなってしまうかもわかりません。これからも続いていくことを願うとともに、年に一度の迫力の瞬間をぜひ現地で体感してください。

 

2019.05.09
文章 カタヤマハルカ
写真 カタヤマハルカ・宮武優太郎

 

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