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2018.12.27

卒業後も町に関わる、元津和野町地域おこし協力隊。第16回西周シンポジウムレポート!

 こんにちは、ライターの舟山です。

 江戸時代に藩校養老館の設置をするなど、歴史的にも教育に熱心な島根県津和野町。そうした背景からこれまで数々の偉人・賢人を輩出して来ました。その一人である、哲学者・西周(にし・あまね)についてのシンポジウムが毎年津和野町にて行われています。16回目の開催となる今年は、新設された「西周賞」の第一回授賞式も実施。イベントの成功には、今年8月に津和野町地域おこし協力隊を卒業した一人の方の活躍がありました。(2018年12月掲載)

 西周は、幕末から明治初期に活躍した人物。哲学のみに留まらず国際法をはじめとした西洋の様々な学問分野の日本への受容に寄与しました。

 西周シンポジウムでは、例年西周に関する研究成果を研究者だけでなく町民や近郊の住民の方に聞いてもらって、その功績等を広く一般に広めることを目的として来ました。過去の講演題目には「西周研究と地域貢献」や「いま、西周ルネサンスの足音」など、その内容は多岐に渡ります。

 明治維新150周年となる2018年、津和野町は、幕末から明治を明晰な頭脳で駆け抜けた西周の優れた業績を讃え、知的伝統を継承・発展させるべく、若手研究者育成とその支援を目的とした「西周賞」を設立しました。

 当日、会場には研究畑の方から近所の見知った方まで、実に様々な方が参加されていました。西周賞を受賞された藤野氏は記念スピーチで、西周が言葉や感情・人をどのように捉えていたかということについて、定説との比較を軸にしながら持論を展開されました。

 浅学のため、初めて聞く哲学分野の用語や理論展開についていけない部分もありましたが、日常よく使う言葉など、身近すぎて普段は深く思慮しないものについても、改めてその意味を考えるきっかけとなりました。

 今回のシンポジウムおよび西周賞授賞式開催の裏には、元津和野町地域おこし協力隊の姿があります。その方とは、以前ツワノシゴト模様でも第1編:博士課程に進めなかった”哲学”研究者。「森鴎外」「西周」の故郷・津和野へ行く【『地方』×『研究者』】などの寄稿を執筆された石井雅巳(いしい・まさみ)さん。今年8月に任期を終え、現在は東京に戻り、研究活動をされています。

 地域おこし協力隊卒業後も、津和野町との接点を持ち、西周シンポジウムや西周賞の準備に向け、東京でも活動をされていました。その実績のひとつが、未出の西周肖像画の展示許可を得たこと。東京での活動の中で、西周の子孫にあたる方とお会いしたことがきっかけで、今回のシンポジウムでの展示が実現しました。この肖像画は、今回が本邦初公開で、専門の研究者でさえ存在を知らなかったそうです。この貴重な肖像画を前に、多くの報道関係者がその姿をレンズに収めていました。

 今回のシンポジウムは、数々の偉人・賢人を輩出するこの町の潜在的文化力を再認識するよい機会となりました。

 

 また地域おこし協力隊を卒業した後も津和野町と関わり続ける方がおり、その方の活躍によって、西周事業という文化・歴史活動が大きく前進しているという事実は、とても誇らしいことだと感じました。

 西周賞は、2022年までの5年間の実施が決まっています。また、石井さんが関わっている西周事業は、シンポジウムと西周賞だけではありません。5年後の刊行を目指して現在編集作業が進んでいる西周新全集の編集、西周論文の現代語訳本の編集、子供たちが西周に親しんでもらうためのコミック本の編集など、多くの事業に関わっておられます。そもそも、これら一連の西周事業の推進母体になっている、島根県立大学と津和野町行政の連携協定自体、石井さんの献身的で素早い活動なくしては実現しなかったと伺っています。

 今後も、石井さん含め西周に関する動きに注目していきたいと思います!

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