ツワノシゴト模様 島根県津和野町発信、生き方を探すローカルメディア

「タクシーを通じて、私にできることを」宝石販売・介護・重機仕事などマルチな経験をしてきた女性タクシードライバーの想い

こんにちは、ライターの舟山です。

11月下旬、今回取材対象となるタクシードライバーの田中慶子(たなか・けいこ)さんへ取材のお電話をすると「取材予定日に、私の住んでいる地区で収穫祭があるので、よかったらお越しください。若い人が来てくれたら、みんな喜びますので」と提案いただきました。今回はそんな収穫祭へ向かう道中、タクシーで送迎いただきながらのインタビュー。津和野タクシーという事業会社を、ごく数人でやられている田中さんの魅力をお伝えします!

 

取材当日、集合場所へ到着したタクシー。「それではどうぞ」とドアを開けていただき中を見ると、僕が乗ったことのあるタクシーでは見たことないような、煌びやかな座布団が敷かれていました。なんだかリッチな気分になって、タクシー内でのインタビューが始まりました。

田中さんは、7年前に津和野にIターン者として移住されてきました。津和野に来る前は、東京の大手デパートの宝石店で営業をされていたり、アメリカに短期移住したり、建設現場でクレーンを動かしていたり、介護ヘルパーの資格を取得されたりと、そのキャリアは多岐に渡ります。

特に驚いたのは、その選択の大胆さ。宝石店で仕事をしていたころ、アメリカとの大きな取引を獲得した田中さんは、その業績からアメリカのお客さんより「2週間ほどアメリカに遊びにおいで」と招待をいただきます。ただ、当時の会社は2週間も休んだらクビになってしまう、という状況。多くの人はお誘いをお断りしそうな状況ですが、田中さんは「せっかく受けたお誘いだから、アメリカに行きたい!」と、会社を辞めてアメリカに短期移住をします。

今より転職への理解が広くない時代に、自分の選びたい道を選択する、という勇気に「同じ状況だった時、果たして自分はそんな選択をできるだろうか」と自問しましたが、おそらくすぐに覚悟は決まらないだろうなと思いました。

田中さんのマルチなキャリアを伺っていると、その経験がタクシー運転手をする上でも様々な点で活かされていることに気づきます。

例えば、タクシーに乗った時に目に入ったあの煌びやかな座布団。これも、宝石店で培われたおもてなしの心から来るもの。「車内を清潔に保つこと・自分の服装にも気を使うことで、お客さんに気持ちよく乗車してほしい」という想いがあります。

また、介護ヘルパーの資格を持っていることから、障害や疾患を抱えている方向けのタクシーとしても活躍されています。

今回、収穫祭へ向かう直前、田中さんの元に一本の電話が入りました。足が悪いお客さんからの電話で「もうすぐ病院の診察が終わるから、その後家まで送ってほしい」というものでした。

病院につき、待っていたのは二人のお客さん。どちらも足が悪く、タクシーに乗るのもやっとという状況でした。10分ほど車を走らせ、お客さんの家に着きますが、なかなか降りることができません。また車から降りた後も、家まで5mという距離を歩くこともままなりませんでした。

そんな時、田中さんは介護ヘルパーで得た知見を元に、お客さんに肩を貸したりおぶったりと、一生懸命に対応します。

本来であれば、目的地に着いた時点でお客さんを降ろして次の仕事に向かうところですが、田中さんは、お客さんが家の中に入り、車椅子に乗ることができるまでの約15分間、つきっきりでお客さんの手助けをしていました。

自分がタクシー運転手だったとして、ここまでのことができている姿はなかなか想像できません。タクシードライバーとしての役割を逸脱しているようにも見える一連に「なぜここまでお客さんのために動けるのだろう」と疑問に思い、聞いてみました。

 

「実は私も足が悪くて、障害者手帳を持っているの。介護の資格も持っていて、足が悪い人の気持ちがわかるから、私にできることはできるだけやってあげたい。きっと、会社の一社員だったらここまでできない。地元タクシー経営をやっている私だからできることがあると思う」

 

自身の身体が強くないからこそ感じる日常の不便。それをお客さんに感じてもらわないように、と積極的に動いていく姿は、とてもカッコよく見えました。

今回収穫祭に招待いただいた地区は、僕も初めて訪れる地区。田中さんより、初めて出会った人たちを紹介していただき、美味しいご飯もいただきました。なかなか一人では初めての土地に入って行きづらいので、こういった機会をいただけたことはとてもありがたかったです。

「タクシーは、観光の玄関だと思っているので、私にできうる最上のおもてなしをしたい」と語るように、常に「誰かのために」を考えられている方でした。お客さんへだけでなく、一緒に住んでいる人や取材をお願いしている僕への配慮を、少しの取材時間だけで様々な場面から感じることができました。

お客さんに寄り添い続ける姿勢やおもてなしの心をタクシーに乗車するだけで感じられるのは、常に「誰かのために」を考えられている田中さんが運転されているからなのではないかと思います。

津和野に来た際は、ぜひ田中さんが運転する”津和野タクシー”をご活用いただきたいです。きっと、タクシー運転手としてみてきた様々な津和野の光景・場所からあなたにぴったりの場所に連れて行ってくれると思います。

田中さんが配布されているチラシと、連絡先を掲載いたしますので、機会があればぜひご活用ください。

 

津和野タクシー電話:090-2009-5612

島根県津和野町発信、生き方を探すローカルメディア

Copyright© ツワノシゴト模様 , 2018 All Rights Reserved.