ツワノシゴト模様 島根県津和野町発信、生き方を探すローカルメディア

「すべては私の糧になる――津和野を飛び出し家業の呉服店に戻るまで」 呉服店さゝや・岡崎里絵さんインタビュー【後編】

 

前編では里絵さんに、呉服屋・さゝやのお仕事の内容についてお話を伺ってきました。

 

しかし、その仕事の内容や彼女が今行っている取り組みは、自身のこれまでの経験が大きく影響されているようです。一体これまで、彼女はどのような経験をされてきたのか。

 

そんな里絵さん自身の少しディープな部分について、お話を伺いました。

 

(※本インタビューは、2017年8月に取材した際の内容を元に執筆しています)

 

津和野を飛び出し家業の呉服店に戻るまで

 

ーー里絵さんのお話を聞いていると、昔の経験をさゝやでのお仕事に繋げているとのお話があったので、少し里絵さん自身のこれまでについてお話を伺えたらと思います。里絵さんの話を伺っていると、自身の哲学や考えなど芯になるものがしっかりとあるんだなという印象を受けます。子どもの頃から、自分の思いをオープンに話せるタイプだったのでしょうか?

 

岡崎里絵さん(以下、里絵さん):子どものころは物静かで、今とは真逆のタイプでした。お庭のお花や草で和紙を染めたりといった、一人遊びが好きだったんです。そういった、自分の世界に入り込めることが性に合っていたんでしょうね。

 

ーー今の話ぶりからは、想像がつかない…。オープンに自分の考えを話せるようになったのは、何かキッカケがあったのですか?

 

里絵さん:あら!!それは、日本の高校を卒業して、イギリスのカレッジに進学したことがキッカケだったと思います。親元を離れて、違った価値観に触れてみたいという思いがずっとあって、それが経験できる一生に一度のチャンスだ!と思って。その時は思い切っていかせてもらいました

 

ーー津和野を出て東京を飛び越え、いきなり海外へ移住って、すごい行動力ですね。現地のカレッジでは何を勉強されていたんですか?

里絵さん:当時は、海外の文化に興味があって、イギリスの歴史や文化、言語学などを学んでいました。余談ですが、現地で色んな国籍の人たちと交流していくと、中には『まだ日本に侍がいるのか?』って大真面目に聞かれたこともありましたよ。テレビでは日本の報道もされているのに…。流石にちょっと驚きましたね。

 

ーー海外の人から見た日本と、自分が知る日本で大きなギャップがあったんですね。それにしても、侍がいると本気で思い込んでいるとは…。

里絵さん:そういった中で、日本の色んなことを伝えていきたいと思うようになったと同時に、家業の呉服について自分が全く知らないことに気付かされたんです。自分から何も発信できなければ国際交流はできません。ただ向こうの文化を吸収していくだけとなると、take=受け取ることはできでも、give=与えることができないということに気がついたんです。

 

ーー慣れ親しんだ故郷を離れたからこそ、その地や自分のルーツを知りたくなったんですね。大学を卒業されてからは、そのままイギリスで職に就かれたのでしょうか?

里絵さん:いえ、卒業後の2年は京都で過ごしたんです。津和野と京都と行き来していた父の仕事の手伝いや、少しデザインの勉強をしていましたそれは家業の呉服のことに繋がらなくても、自分のアイデンティティになると思ってプラスして京料理を学んだり、お茶の世界にも飛び込んでみたりと、京都でしかできない体験をしてきました。

 

ーー欧米文化にどっぷり触れたからこそ、日本の古都・京都でお時間を過ごされたんですね。里絵さんのお話を伺っていると、軸があるというか何というか、とにかくエネルギッシュな印象を受けます。

里絵さん:京都を離れてからは、呉服の世界を学ぶために東京の大手の呉服店に勤めていました。ただ、会社という組織で勤めている中では当たり前の話なのですが、沢山の人が関わる中の1つの歯車、、、、モヤモヤしていたんです。そんな中で、着物にせよ、接客にせよ、一人歩きして欲しくない、自分の持つこだわりに気づいていきました。

 

 

 

‘‘一人歩き”して欲しくない自分のこだわり

 

ーー里絵さんのもつこだわり、、、自身のルーツを学んでいったからこそ、自分が本当にやりたいことに気がついていったんですね。呉服の世界を勉強されて、その後は津和野に帰られたのでしょうか?

里絵さん:いえ、その後は色んなお仕事をやっていました。営業事務をやることもあれば、ご縁があって国会議員の秘書や芸能関係の仕事をしていたこともありました。国政の仕事にも関われたこと、時代劇の舞台裏、衣装部の仕事を見ることができたことは本当に勉強になりました。

 

ーー国会議員の秘書や芸能関係の仕事?!これまた着物とは全く違う世界でお仕事をされてきたんですね…!

里絵さん:自分の苦手なことに挑戦してみようと思って、自分の幹を作るためでしょうか。様々な仕事をやってきました。着物についてでいうと、仕事とは関係なく、浴衣の会をお友達の中でやっていました。また東京生活の中で、着物の資格を取っておこうと思い、師範の免状までは取りました。

 

ーー本当にチャレンジャーというか、ユニークな道を歩んでこられたのですね。様々な世界に飛び込んできた里絵さんが思う、着物の魅力って何ですか?

里絵さん:『らしさ』が出てくるところですね。着るとその人らしさがすごく出てくる衣装だと思います。

 

ーー『らしさ』ってすごくいい言葉ですね。その人の良さや個性が溢れ出てくる感じがして、すごく心地良いです。

里絵さん:私もこの言葉が好きなんです。洋服もそうですが、どんな人でも着物を着ていくと、段々と着せられている感がなくなってきて、その人『らしさ』が出てくるんです。

 

ーー着れば着るほど『らしさ』が出てくる。着物ってそんな素敵なものだったんですね…!

里絵さん:そういう意味では、着物はカクテルドレスにも絶対負けないし、勝負服になるすごく素敵な衣装だと思っています。

 

ーー確かに、特に着物着ている女性にはグッとくるものがあります!

里絵さん:着物は『女性らしさ』も引き出してくれる衣装だと思います。着物でハードなイメージを出そうとしても、どこかにしなやかさや柔らかさが出てくると思うの。それと、着物が首元から足元までを隠している衣装だし、走っても袖がなびいて、おしとやかさが出るんです。私も、着物を着ているときと洋服を着ているときでは気分や所作が違うんですよ。を歩いていると、絶対に誰かしらに声をかけられます。

 

ーー着物だと『お似合いですね!』なんて声をかけやすいかも。

里絵さん:いきなり着物談義が始まることもありますし、外国人の方が『いいね!』と声をかけてくれることもあります。そうやって、着物を『いいな』」と思ってくださる人を増やしていきたいですね。

 

ーー津和野もフランス人を始めとする外国人の方が増えてきていますし、古き良き日本文化として、改めて着物の価値を見直していきたいですね。

里絵さん:まさにそうで、これからは自分の経験を活かして国際交流のようなことをやっていきたいと思っています。イギリスにいた当時の私ができなかった本当の意味での文化交流を、これから実践していきたいんです。

 

ーーそれは英語を話せるということだけではなく、たくさんのユニークな経験をされている里絵さんだからこそできる気がする…!

里絵さん:着物という切り口から外国人の方と知り合いになれば、フィールドが広がっていく楽しみもありますしね。そうやって着物に関わらず、『私だからできること』というのを、やっていければいいなって思っています。さゝやでなくても、私のアイデンティティである着物での交流は一生やっていくつもりです。だから、これからもっとみなさんに気楽に来てもらえるように発信していきたいし、それで『着物を着たい』という人が増えていくのが一番嬉しいですね。

 

ーー元々、日本人なら誰もが着ていた着物が廃れているというのは、考えたらすごく寂しいことですよね。まずは、昔ながらの町並みが残る津和野から『着物を着たい』という人を増やしていきたいですね。本日は、たくさんの面白いお話を聞かせていただき、ありがとうございました!

里絵さん:こちらこそ、ありがとうございました!

 

 

 

いかがでしたか?

着れば着るほどその人『らしさ』が出てくる着物の魅力、さゝや・岡崎里絵さんの知られざる人となりをたっぷりとご紹介させていただきました。

 

着物を着る機会というと、何かの行事や祭りといったイベントくらいかもしれませんが、お話を伺ってから、自分『らしさ』が出る着物、普段からもっと着てみたいと思うようになりました。

 

何より、小京都・津和野は着物を着て過ごすのに本当にピッタリな場所です。

 

津和野での大きなイベントの際に着物を着ていると、素敵な出会いもあるかも…!

津和野に来られた際には、ぜひさゝやにお越しください。

(企画/宮武優太郎、企画・文/工藤夏帆、編集・写真/前田健吾)

 

前編はコチラ

 

 

 

島根県津和野町発信、生き方を探すローカルメディア

Copyright© ツワノシゴト模様 , 2018 All Rights Reserved.