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「すべては私の糧になる――‘‘お客様とともに”を大切に」呉服店さゝや・岡崎里絵さんインタビュー【前編】

 

こんにちは!

ライターの前田です。

 

津和野には、この地での着物の普及に務めている一人の女性がいます。

岡崎里絵(おかざき・りえ)さん。1854年創業の呉服店・さゝや(ささや)を切り盛りされてい彼女は、数年前に故郷である津和野に帰郷。『着方レッスン』や『浴衣レンタル』といった、着物により多くの人が親しめるような新たな取り組みを始めました。

 

多くの方に馴染みのない着物の世界とは一体どのようなものなのか?

そして店主の岡崎里絵さんの人となりとは?

 

実際に、お話を伺ってきました!

 

(※本インタビューは、2017年8月に取材した際の内容を元に執筆しています)

 

 

 

 

‘‘お客様とともに”を大切に

 

ーー里絵さん、今日はよろしくお願いします。

岡崎里絵さん(以下、里絵さん):こちらこそ、よろしくお願いします。

 

ーーそもそも呉服屋さんというと、すごく高級な着物やその生地が並んでいるイメージなのですが、実際にはどのようなお仕事をされているのでしょうか?

里絵さん:メインの仕事は、着物とそれに合う小物の販売です。また、さゝやでは、『着方レッスン』や『浴衣のレンタル』も行っています。

 

ーー浴衣だと夏祭りの定番だし手が届きやすいイメージがありますが、季節が限られるので中々買わない人が多いかも。そんなサービスがあったら、お店に足を運びやすいですね!

里絵さん:呉服屋っていうと何となく敷居が高いイメージがあるかと思いますが、カジュアルな浴衣を気軽に着れるのであれば、お店にご来店いただけるんじゃないかなと思って、このサービスを始めたんです。またレンタル以外にも、お客様に合う着物のご提案や『悉皆(しっかい)』を行っています。

 

ーーし、しっかい?

里絵さん:着物の世界で使われる言葉で、クリーニングや寸法直しから、色や柄のお直しまで、着物に関する全てを行うということです。着物のお医者さんのような感じです。

 

ーーということは、同じ着物でも悉皆を経て、以前とは全く違うものになることもあるのでしょうか?

里絵さん:変える部分が多いと、そのように見えることもあります。なので、悉皆は手間もかかるし、いい意味でプレッシャーもあります。着物の色をかけ直す場合は、その人に似合う色を出さないといけません。それだと絶対に失敗できないし、お店側としては新しい着物を提案する方が楽かもしれません。

 

ーーそれでも、あえて難しく、またプレッシャーのかかるお仕事をされているのはなぜなのでしょうか?

里絵さん:苦労は多いけど、やっぱり『持っている着物を着たい』とおっしゃる方には、その気持ちにお応えしたい。お客様にお直しした着物をお見せすると、『こんなことができるんですね!』とすごく喜んでくれるんです。それは、やればやるほどやりがいを感じます。

 

ーーお客様が想像されている以上の着物を、ずっと追求されてきているんですね。里絵さんは、そのために心がけていることってあるんですか?

里絵さん:それはもう、コミュニケーションに尽きます。『お客様が今、何を求めているのか』ということをしっかり伺ってから、その方に似合う着物をご提案したいんです。

 

ーーお客様の『こんな感じの着物にしたい』という要望に、とことん応えたものを提案するということでしょうか?

里絵さん:それもそうなんですけど、ご要望に加えて、‘‘お客様が本心ではどうなりたいのか”ということに思いを巡らしています。例えば『普段はロックなファッションが好きだから、着物の時はおとなしめがいい』と伝えられたら、第一印象に捉われずそう見えるものをご提案します。どういうことかと言うと、要望に応えるだけでなく、その人らしさが引き立つようにと、少しスパイスも入った提案もさせていただくこともあります。また、『どんなテイストの着物がいいかな?』と迷っている時にはこちらからご提案してあげたり、お客様の要望に応じて対応しています。

 

 

 

 

ーー僕も、カジュアルなテイストの着物にしてみたり、洋服の要素を入れてダボつかせたりと色々遊んでみたいなー。けど、着物って小物が多いし、着こなしも含めて色々縛りが多いイメージがあるんですよね。

里絵さん:ルールはありますけど、衣装なのである程度は好きなようにしていただいていいと思うんです。こちらからは、さゝやが思う、もっとその方が素敵に見えるような着こなし方であったり着物を提案させていただきますが。

 

ーーなるほどー。着物って中々着る機会もないから着こなし方もわからないし、実際に里絵さんからのアドバイスいただきながら、色んな着物を試して着てみたいです!

里絵さん:そうやって言っていただけるとありがたいです。わからないことがあれば、何でも質問してくださいね。私は‘‘お客様と共に”ということを常に意識しています。人とのつながりの中で、いつでも勉強させていただいているからこそ、コミュニケーションは大切にしていきたいんです。

 

ーー着物のプロである里絵さん自身も、お客様とコミュニケーションをとって着物を共に作り上げていく過程で学んでいく。里絵さんのそのストイックな姿勢が、さゝやのスタイルを作っているのですね。

里絵さん:さゝやでの接客も、これまでの私の経験から学んだことを実践しているだけで、接客のマニュアルは一切ないんです。その経験したことを糧にしているだけだから、成功も失敗も全て自分の責任になってくるというところはあります。

 

ーー(私の経験…?数年前に帰郷したって言ってたけど、それまでどんな経験をされてきたんだろう…?)

(企画/宮武優太郎、企画・文/工藤夏帆、編集・写真/前田健吾)

 

後編へ続く

 

 

 

 

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