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伝統茶農園4代目が語る『まめ茶』の未来像とは(『まめ茶の秀翠園』代表・田中懸志朗さんインタビュー)

島根県内のお茶の品評会で何度も受賞経験のある創業70年近くのお茶農園『秀翠園』。そこで生産されるお茶は、〈日本のお茶40選〉に選ばれ、銀座エリア最大の商業施設『GINZA SIX』の中に入っているカフェにもそのお茶が出されているなど、実績も抜群だ。そんな伝統茶農園の4代目・田中懸志朗(たなか・けんしろう)さんは、衰退しつつあるお茶農家のこれからを担っていく若きホープ。今回は自身が力を入れている津和野の名産『まめ茶』という切り口から、田中さんの現在の取り組みやこれまでの人生、目指しているお茶の姿について熱く語ってもらった。

 

「まめ茶は美味しいんだ」、というプライド

お茶農家『秀翠園』の4代目・田中懸志朗(たなか・けんしろう)さん。津和野高校を卒業後に静岡県で茶栽培の修行に励み、5年前に帰郷。現在は『まめ茶の秀翠園』代表として、  まめ茶の普及に努めている。

「まめ茶を生産している地域は他にもありますが、津和野のそれは特に香りが良い。それは契約農家さんが同じカワラケツメイの豆をずっと守り続けてくれているからなんです」

カワラケツメイとは、まめ茶の主成分である薬草のこと。干して焙煎することによって、その特徴である上質な香りは2km先までも届くと言われている。

古くは江戸時代の藩主が推奨したことから流行り出した津和野の茶栽培。青野山の火山灰の影響で水はけがよい大地であることに加え、寒暖差が大きい気候であることから、中には自生している茶葉もある。加えて、短い日照時間はたくさんの旨味成分を茶葉にもたらしている。それは、まめ茶においても例外ではない。

「まめ茶はとにかく香りが命。だから、その香りが注目されがちなんですけど、味も美味しいんです。観光客が津和野での土産物としてまめ茶を購入して、帰ってからもネットでも注文してくれたり、美味しいお茶として他の人にも紹介してくれたりと、多くの人を虜にするまめ茶はやっぱりすごいなと思いますね」

お茶というと、お店で出される食べ物や家を訪問した際の”付け合わせのもの”というイメージが強い。飲んで美味しかったから、と他の人に紹介されるお茶も珍しいのではなかろうか。

また、その特徴的な味・香りだけではなく、健康茶としても注目されつつある。

「まめ茶は無農薬かつノンカフェインで、脂肪を吸収しにくいと言われ、安心・安全な身体に優しいお茶でもあります。そもそもの名前の由来は、津和野の方言で「まめになる」=「健康になる」から。健康茶ってそれとなく苦いイメージがあると思うんですけど、まめ茶は味も香りも良い。美味しいノンカフェインの健康茶として、ぜひ妊婦さんや小さいお子さんにも飲んでもらいたいです」

家族の背中を追って

「後継者としてのプレッシャーはあります。『秀翠園』は自分で4代目ですが、まだまだ親の七光り。先代から受け継いだものを基盤に、その時代に求められる商品を提供していかなければ、という気持ちです」

『秀翠園』は1949年創業。まめ茶は70年代の観光ブームの際に注目されるようになり、今ではその名を知らぬ者がいないほど津和野のほとんどのお店で取り扱われている。4代目である田中さんは、家族から受けた影響はあったのだろうか

「茶のことに関して家族からはあんまり口うるさく言われたことはないんですし、津和野での学生時分もお茶に触れたことはほとんどありませんでした。ただ、「まめ茶こそが美味しいんだ」というプライドだけは、小さい頃からずっと持っていましたね。また、働いている祖父や親の背中には昔から憧れの念を抱いていて、そのことは自分が『秀翠園』を継ぐキッカケになりました」

そんな彼がお茶のイロハを学んだ先は、天下のお茶どころである静岡県であった。

「津和野高校を卒業してからは、静岡県の野菜茶業研究所というところで2年間研修をしてきました。そこではお茶農家の跡取りばかりの全部で40人くらいの寮生活で、先生は厳しかったし、昼間に収穫作業をして夜通し製造するハードな環境でした。以降、お茶の機械メーカーで2年間静岡県牧之原のお茶農家で1年半研修をした後、津和野に戻ってきました。そのような厳しい日々を過ごす中で、自分と同じような境遇の仲間達に出会えたことはとても大きかったですね。彼らとは、お茶の情報交換などを通じて、今でも交流が続いています」

自身を七光りと称しながらも、困難な修行時代を経て、時代のニーズに応じた商品を作っていきたいと語る田中さん。津和野町のお茶のブランディングを進めている彼は、自身のある理想を目指して行動していた。

津和野のカワラケツメイを日本一にしたい

例えば、青森県はブランド化されているりんごが有名ですけど、そこにはりんご農家がそこら中にあるじゃないですか。そのように、ある作物がブランド化されている地域というのは、収穫量が多いことやたくさん農家さんがいること、目を引くストーリーがあるなど、何かしらの理由があるんですよね

津和野のカワラケツメイをブランディングしていくために、田中さんは自身である取り組みを始めたのだという。

「生産者さんの立場もわかるようにと、自分でカワラケツメイの栽培を始めたんです。やってみると、改めて農家さんの苦労やすごさがわかるようになりました。昔の人ってやっぱり根性があるな、と。それをただ真似するのではなくて、自分で試行錯誤しながら、若い人にも合う楽な栽培方法を模索しているところです」

カワラケツメイの農家を増やすための取り組みは、本来の仕事にもある影響を与えている。

「生産者さんの顔を以前よりも強く意識するようになりました。まめ茶の営業での価格交渉でも簡単に安売りすることはありません。もちろん、安く売ればたくさん売ることはできるのですが、生産者さんの生活も考えると安易に安くすることはできないですね」

最後に、田中さんは『秀翠園』の4代目として力強くこう述べた。

「80代の人が作ってきた良質なものを次世代に引き継いでいくことが、僕の使命だと思っています。まめ茶を始めとするカワラケツメイから作られているお茶を生産している茶農家は鹿足郡を始め他にもたくさんありますが、まめ茶と言ったら『秀翠園』となるようこれからも頑張っていきたいと思います」

(文・写真/前田健吾、宮武優太郎)

 

秀翠園の商品は、『津和野町ふるさと納税制度』からもお求めいただくことができます。詳しくは外部サイトまで。

外部サイト:ふるさとチョイス「津和野の人々が飲むまめ茶が入った秀翠園銘茶とお菓子セット」

 

秀翠園

 「秀翠園」HP:http://www.shusuien.com/

「まめ茶の秀翠園」HP:http://mamecha.jp/#top(←こちらのサイトで通販も承っております)

TEL: 0856-72-2204 

FAX: 0856-72-0848 

E-mail: info@mamecha.jp

 

 

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