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仕事を通じて”受精卵と同じ成長”をする(!?)津和野に滞在した中国人が語る「仕事の探し方に関しての知見」

 

3月ーもはや日本の風物詩であろう、都内の雑踏を歩いていると目に入ってくるのが、黒色のリクルートスーツを着た学生たちだ。もちろん、彼らが求めているのは、自分が将来に就く仕事だ。

津和野でリクルートスーツを目にすることはないが、都会であろうと田舎であろうと仕事はどこにでもある。

だが、「自分はどうやって仕事を見つけたらいいのか」「自分はどんな仕事をやりたいのか」と自問した時に、それを見つけられる人間がどれだけいるのだろうか。

 

今回は、2017年の2月まで3ヶ月ほど津和野に滞在していた中国人の方から、「仕事の探し方に関しての知見」というテーマで寄稿をいただいた。

彼はかつて、中国にてユーチューバーのコンサルタント会社に所属。その後は、友人と立ち上げたデザイン会社に関わりながら、日本を始めとする世界中を旅している。

”超”がつくほどの学歴社会である中国での就職活動、会社への所属、そして会社の立ち上げを経験してきた彼が語る、”個人としての仕事への向き合い方”、”面接への挑み方”、”会社での成長の仕方”という三つの観点に基づいた「仕事の探し方に関しての知見」とは。

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仕事の探し方に関しての知見

作者:李勝博  翻訳:Nichika Kengo  編集:Kengo

引用:https://goo.gl/vdrp5n

求職、面接、就職、起業、人は仕事を得る為には何をすべきなのだろうか。

これは誰しもが直面する問題であるが、この知見を通じて、読者の方が少しでもその答えに近づいてもらえると幸いだ。

 

あなたにとっての「趣味」とは何だろうか?

 

私は大学を卒業して就職活動をしていた時に、ふと、仕事に関してある疑問を抱いた。

「目の前には、二つの選択肢がある。一つ目は給料が高いがそれほど好きでもなく楽しくもない仕事で、もう一つは給料はそれほど高くないが楽しくてやりがいのある仕事だ。そのような二つの仕事の選択を迫られた時、私はどちらに選ぶだろうか?」

 

迷うことはない、どうあがいても後者を選ぶだろう。

大多数の人間は消費を楽しむために多くのお金を稼ごうとしている。だが、所得向上のために毎日を楽しむ気持ちを捨て去るなんてことは、充実した人生を送る上では本末転倒だ。 

 

もちろん、その答えに関しては様々な反対意見も出てくるだろう。そのうちの一つ、取り上げられる意見としては以下のようなものが挙げられる。

「楽しむことが目的の”趣味”と、所得を得ることが目的の”仕事”は分けて考えるべきではないか。なぜなら、趣味を仕事として考えてしまうと、それぞれの目的が交錯してどちらも中途半端になってしまうだろうし、さらにはその趣味に対して興味を失うかもしれないからだ」

 

ただこの意見に対しては、別の視点から以下のように反論することができる。

「自分が好きなある事を通じて、あなたは収入を得る事ができる。さて、あなたはそこで生じた収入を受け取るだろうか?」

 

上述した反論意見において、注目してもらいたいポイントは2点ある。

  1. これは本当にやりたいことであるか
  2. これはあなたに利益をもたらすのか

 

「趣味」として取り組んでいることが、「仕事」になるとは限らない。ただし、「仕事」を通じて利益を得るというのは、時にはある種の苦しみをもたらすこともある。そういった苦境を乗り越えるための最善策は、自分がやりたいと欲している「趣味」を通じてお金を得ることだ。

とは言うものの、趣味でお金を儲けるのは実際のところ可能なのだろうか?

 

ビジネスという観点から考えてみると、それは可能だと言える。

下手な鉄砲も数を打てば当たるという諺(ことわざ)があるが、要は向上心溢れる人間が頻繁に反省と総括を行い経験を積んでいけば、自ずと自身の能力値は上がっていく。一つの趣味をとっても、上述したプロセスを経れば自身の熟練度が上がっていくので、製品などのアウトプットの質はますます良くなっていくだろう。

そうやって、あることを弛まず頑張り抜いていると、あなたの製品が流通する市場の規模は徐々に大きくなっていく。

そうした姿勢に惹かれて、両親や親戚、祖父母や友人たち、クラスメート、同僚、愛すべきパートナー、あなたと近い立場にある彼らが、その市場の宣伝媒体や流通のルートとなっていく。そのためにはまず、あなた自身が市場の宣伝媒体や流通のルートとならないといけないのだ。

製品の品質や技術の向上を絶えず行い続けると自ずと市場は拡大していき、自由業のように一度取引を始めてしまえば、収入は大きく増えていく。それは従業員であったとしても、同様のプロセスを経て能力値が上昇していくと、自身の待遇は向上し大きな裁量を与えられるという点では同じである。

 

詰まるところ、仕事上の立場に関係なく、「趣味」を「仕事」にすることは全く有り得ないことではないのだ。

そういった観点から考えてみると、「どんな仕事を探すのか」という行為は一見簡単そうに見受けられるが、実際には殊更難しいことに思える。

 

あなたにとっての「趣味」とは何だろうか?

あなたはそれに対して、一体どれほどの熱を抱いているのだろうか?

 

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私は将来、彼・彼女のようになりたいですか?

 

仕事を探す際、避けては通れないのが面接だ。

面接とは、面接官が投げかけた問いへのあなたの答えが、彼らが求めている人物像に適っているかどうかを審査するものだ。面接官によっては、相手に問い返しのチャンスを与えることもある。ただそういった面接の形式以前に、「求人とは何か」という本質的なところが理解されるべきだと私は考える。

 

例えば、ある会社で市場シェアが拡大した時は、生産能力を増強しつつ製品の品質を向上していこうとする。つまり、より多くの人手に、より多くの仕事をしてもらいたいのだ。そのような場合、新人は上司のパーツとなって指示された仕事を実行していくことが求められる。

 

多くの人手を抱え、社内がいくつもの階層に分かれている会社においては、新人はあくまでパーツの一つでしかない。もし、”会社”を完全な”人”として考えるならば、成長していくにつれて、彼の手の機能は新人に分担され、その手の中にある手のひらの機能も新人に分担され、指の機能も新人に分担され…

従って、より遅くに入社した新人ほど会社の核心に触れることが難しく、また自分が任されている機能を超えた層に達することなどは不可能に近い。もちろん、そういった巨大システムは豊富な資本によって安定はしているため、新人の頃は比較的低い階層にいたとしても、成果を出して昇進していき上位層にまでたどり着いたならば、その後は平穏な地に安住することができる。一方、それほど階層が多くはない小さな会社では発展過程の中において、新人はより多くの機能の仕事を引き受けることができる。だが多くの場合、小さな会社に所属している人間は、社内での立場に関わらず、平穏な地に安住することは難しいだろう。

 

今はそのような状態ではあるが、近い将来、「莫大な資本を有する安定した大企業」と「独立した個人の活躍」が競争するという展開が予想される。もしくは、大企業の安定性の下で個人の活躍の場が消滅する。あるいは、個人の活躍は大企業からの力や資本に依存することがなくなり、独立した個人同士の新たな戦いが始まるのかもしれない。

 

そんな将来の話はさて置き、どのような形態の企業に入社するにしても、最終的に経なければならないのは面接だ。多くの若者は合格という結果を受けて、自分の自信を確かめる。「やった!合格だ!オファーが入ってきて嬉しい!」となるのだ。そこで、少しばかり仕事の経験がある人は、自分が得てきた仕事の知識や経験を生かして、より良い待遇を報酬を得るための交渉に入ることもある。

 

しかし、そんな結果を受ける以前に考えなければいけないのが、面接こそ上司に弟子入りしたイメージができる機会だということだ。なぜなら、面接官は自分自身の未来のテンプレートになり得るからである。

そういったことを踏まえて、面接で問いを投げられている時には一度心の中で休憩して、面接官に投げるべき問いについて考えてみよう。

 

「彼・彼女にはどんな経験がありますか?」

「彼・彼女はどんなバックグラウンドを持っていますか?」

「彼・彼女はどんな過程を経て、どんな成果を生み出してきましたか?」

「彼・彼女のアピールポイントは何ですか?」

「彼・彼女の将来像はどのようなものですか?」

「彼・彼女には創造力、実行力、その他何かしらの特性はありますか?」

「彼・彼女はあなたが尊敬し勉強していくに値する人物ですか?」

 

面接官があなたが彼・彼女の一部になれるかどうかチェックしているように、あなたも彼・彼女の様子を見て自問しなさい。

「私は将来、彼・彼女のようになりたいですか?」
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受精卵のように成長する

 

高校時代の生物の内容で一つ覚えていることがある。全ての細胞は成長していく中で身体全体を作り出していく、ということだ。たとえ人体局所が損傷したとしても、細胞がその部分に転化していくし、植物にも同様のことは起こる。そしてそれを人体に置き換えてみると、植物の胚に当たる部分、つまり人体の核に当たる部分が受精卵である。

 

受精卵の成長の仕方

 

受精卵の成長発育方式には、受精卵の数量がますます増える「分裂」と、受精卵が異なった機能を持つ細胞に変化していく「分化」の2種類がある。受精卵はそんな方式に従って進化し、臓器や神経、胎児の原型となり、母体から生まれ出てくることにより、血の繋がった独立した子供となる。

また、受精卵と同じ細胞でありながら、母体の中を引っ切り無しに分裂し続けていく細胞がある。それはガンである。ガン細胞の分裂というのは急激で、絶え間なく母体の栄養を汲み取っていき、最終的に枯渇させる。

 

今の話を踏まえて会社を母体として置き換えてみると、会社に所属する新入社員は全くの新しい細胞で、細胞の分裂は人同士の連携を象徴し、細胞の分化は個人的な技量・力量が向上していくことを表している。まず、新入社員の中には様々な可能性を持っている受精卵のような者がいる。そういった者は、会社という母体の中で栄養分を吸収してすくすくと育っていき、妊娠10ヶ月ほどになると独立した事業体を持ち、資本上は母体である会社と家族のように繋がっている関係が続いていく。そんな受精卵のような者がいる一方で、ガン細胞のような人間も中には存在し、独立することなく会社の栄養分を吸収し癒着を続けていく。

 

実のところ、受精卵であろうとガン細胞であろうと、論理的に良い悪いの区別をつけることはできない。なぜなら、全ての人間はライフスタイルを充実させていくことを腐心して止まないからだ。例えば、細胞の分化をする機能性の細胞であるのは研究者である。彼・彼女の生涯の趣味は研究対象を研鑽することで新しい発見していき、細胞の文化のように自己の技量・力量を向上させていくことだ。ガン細胞は社交性の達人かもしれないが、得てして八方美人になりがちだ。受精卵が機能細胞と唯一異なっているのは、未来に独立できるチャンスがあることだろう。

 

従って、仕事を通じて「受精卵と同じ成長」をするためには、最初に「どんな仕事をすべきか」というところに戻ってくる。つまり、受精卵の10ヶ月の妊娠期間に当たる、会社に所属しながらも将来的な独立を見据えている間にすべきことは、経験や資源の蓄積、及びマーケティングとビジネスモデルの理解というところだろう。また、母体にいる間に自らの個性を消滅させないように、最後まで独立の意思を持ち、人格の発展に伴い自分が本当に向いていることを知っていけば、いつかは独立してやりたいことができるようになる。

それこそ、「受精卵」としての最も本質的なゴールではなかろうか。
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(訳/前田健吾、宮武優太郎)

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