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「挑戦する勇気は未来を開く」ヤンチャ少年が“働く意味”に気づいた『三松堂』の教え (和菓子処 三松堂 阿部龍太郎さんインタビュー/後編)

前編はコチラ(和菓子処 三松堂 阿部龍太郎さんインタビュー/前編)

日常の“なぜ”に対して無頓着だった学生時代

三松堂店長として“お客様の心を動かす和菓子”とは何か常に考え、自費で京都まで和菓子の視察へ行くなど、多忙な日々を過ごしている阿部さん。しかし学生時代は勉強に全く興味を持たない、ヤンチャな少年だったと自身の事を語る。

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「偉そうな事言ってますが、学生時代は本当に勉強が嫌いでしたよ。今でも高校時代の恩師に会うと、「阿部は全然ダメだった」と愚痴られます(笑)。暇さえあれば仲間とたむろしたり、一人の時はずっとゲームばかりやってたり。興味がそこにしかなく、別の世界を見ようともしなかった。

とにかく、日常の“なぜ”に対して無頓着だったんです。何のために生きているのかわからなかったし、興味がなかった。あの頃は感性が乏しかったと思います。そんな学生気分のまま、三松堂に入社したものですから、当時はもうひどかった」

職人達と共に自社商品を自分達で作り出すことに憧れを抱き、高校を卒業してすぐのタイミングで三松堂に入ったという阿部さん。しかし、すぐに気持ちを切り替えるのは難しかったそうだ。

「サービス業ですから土日も出勤しなければいけませんし、お正月も営業しているので、なかなか友人たちとは遊べない。休みの日が取れた時も、見栄を張っていい車を乗り回したり、夜遅くまで出かけたり。

当時は働くことが好きではありませんでした。なぜ働くのか、わからないまま社会人になったんですね。責任感はまるで無いし、周囲の人があれこれ言うから働くだけ。さらにタチの悪いことに、人の意見を聞かずに斜に構えている部分もありました。「周りがどう思おうと、俺は嫌じゃない。じゃあそれでいいだろ」と。当時を振り返ってみると、本当に自分に引きますね(笑)。そんな状況で仕事をすれば、もちろん、失敗が重なります」

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「ある会社に和菓子の宅配に行った際に、受付に渡しておくよう言われていた事を忘れてしまい、大事な商談中に入り込んでしまったことがありました。当然お客様からは怒られましたし、上司にもこっぴどく叱られました。仕事は楽しくないし、うまくいかないし、もう会社を辞めようかなと思った時もありました」

ヤンチャ少年が、社長の背中を見て気づいた「働く意味」

しかし自信を失っている阿部さんを信じ抜いてくれたのは、三松堂の社長を務める小林社長だったという。

「それでも社長は、何度も何度もチャンスを与えてくれたんです。こんな失敗ばかりの自分なのに、何でチャンスをくれるのだろう。そんな風に僕の事を信じて待ってくれている社長のことを考えたら、自然に責任感が湧いてきたんですよ。「変わらにゃいけん、やらにゃいけん」と」

kobayashi_02阿部さんと、小林智太郎社長。三松堂本店にて。

小林社長の“部下を信じて待つ姿勢”を見てから、阿部さんも徐々に気持ちの変化が芽生えてきたと言う。

「それから相手に怒られた時には「なんで不快になったんだろう」と考えるようになったと思います。

当時は毎朝社長が私と向き合ってくれていました。社長はどちらかと言えば無口な方で、考えの押し付けはしません。しかし社員には徹底的に思考することを求めます。「なぜミスしてしまったのか」、「社訓とはなぜあるのか」、「お客様は三松堂に何を求めているのか」。全て問いかけられて、何とか絞り出して、やっと自分の思考と結びつけられるようになりました。それが現在にも活きていて、迷った時に助けてくれるのが、創業者の理念や言葉だったりするんです」

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「三松堂には経営理念と、社員心得があります。田舎町の和菓子屋には珍しいかもしれませんね。社員はその言葉を、自らの思考に落とし込めるよう努力する。また創業者の言葉を、常に見える位置に置いているんです。

『お客様に、ひとときの幸せを提供する』。これを念頭に置き、全ての行動をしています。なぜお客様とお話するのか、なぜ掃除をするのか、なぜ和菓子があるのか。どうすればお客様に幸せな気持ちになっていただけるのか、そういう思考を常に持って、働いています」

“ボクシング”も学びだ!叩き上げの若店長が目指す、三松堂の未来

日々の仕事にまっしぐらな阿部さんは、休日にも様々なことにチャレンジしているそうだ。

「仕事と人生を充実させるには、休みの日をいかに使うかが重要だと思ってます。お得意様のお寺に坐禅を組みに行ったり、津和野町民センターでボクシングなんかもしています(阿部さんが通うボクシング部の様子はコチラ『津和野町”草”ボクシング部!』)。どちらも固い思考を外して、相手や自分とどう向き合うかを考えさせらえる。そのお陰で思考がとてもシンプルになり、トラブルへの順応性が高まったと実感しています」

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「他にも空いている時間があれば、洋菓子屋さんに行って厨房を覗かせてもらったり、農家さんや地域住民の方達と交流したり・・・。その人の持つ想いを聞くことが好きなんです。どこに気づきのヒントが落ちてるかわかりませんから」

DSC_0065 先日行われた“「嫌われる勇気」を囲む会”の模様。ベストセラー「嫌われる勇気」の感想を語り合った。ツワノシゴト模様でもレポ記事を配信予定。

「たくさんの趣味も、強制されてやっているわけじゃありません。どんな事も自発的じゃないと続かないと思います。「これで良いは、終わりの始まり」と思っていますし、和菓子づくりも時代の潮流に合わせて発展させていかないといけない。

最近は本も良く読むようになり、作家の喜多川泰先生の作品を愛読しているのですが、彼の著書の中に『挑戦する勇気は未来を開く』という言葉があります。挑戦とは具体的な行動であり、失敗したとしても、気づきと学びという経験が蓄積される。私はそんな風にこの言葉を捉えています。これからもトライアンドエラーの精神で、つき進んでいきたいですね」

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「働くことが楽しくなかった」少年を、「お客様に“ひとときの幸せ”を提供する」青年に変えたもの。

それは、三松堂創業者の言葉であり、三松堂社長からの信頼だった。

失敗しても、失敗しても、立ち上がり続けてきた阿部さん。

阿部さんはこれからも、周囲の信頼を背に、津和野の未来を胸に抱え、

愚直に、そしてひたむきに、三松堂と和菓子の発展に邁進してくことだろう。

(文/宮武優太郎)

三松堂の和菓子は、『津和野町ふるさと納税制度』からもお求めいただくことができます。詳しくは外部サイトまで。

外部サイト:ふるさとチョイス「津和野名物「源氏巻」と「ふくしろ」を含む和菓子詰合せセット」

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和菓子処 三松堂 本店

営業時間:8:00~18:00
定休日:なし
駐車場:7台
TEL:0856-72-0174

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