ツワノシゴト模様 島根県津和野町発信、生き方を探すローカルメディア

津和野の土壌を自分の色に!「生きるを彩るつわの野菜塾」がT-SPACEにて開催。

 

12月17日の土曜日、

 

東京都文京区は後楽園。

 

そのメインロードを少し裏手に入った一角、

 

白い看板には「Tsuwano T-space」(以下、T-space)という洒落た横文字が並んでいる。

 

そう、ここ「T-space」は津和野町が東京にもつ、出先機関だ

 

「津和野で農業をする魅力を1人でも多くの人に知ってもらいたい。」そんな想いから”生きるを彩る、つわの野菜塾”がスタートした。

 

”地方創生”元年と謳われている昨今、日本には数多くの魅力的な集落がある中、あえて津和野に来て農業をする意味とは何なのか。

 

このイベントに参加されている方々の思いは、いかなるものなのか。

 

それらを知るべく、”生きるを彩る、つわの野菜塾”に潜入してみた。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-02-23-27-43

自分の思いを実現できる土壌が津和野にはある

まずは、ここ「T-space」で働かれている弘重さんから津和野の概要の説明があった。

今年の4月から「T-Space」で働かれている弘重さん。彼女自身は、埼玉県出身であるものの、津和野への造詣が深い。

dsc_0388

「津和野では近年たくさんの新規事業が立ち上がっています。津和野の新たな野菜の物流ルートを開拓した”まるごと津和野マルシェ”臭みのないイノシシ肉の卸売り事業津和野高校魅力化など、津和野町の活性化に大きく寄与しています」

 

そして、「T-Space」でこれまで行われきたイベントの説明がなされる。

 

「最近事務所を「T-Space」として改装したのですが、観光案内や移住相談だけでなく、交流スペースとして定期的にイベントも行っています。津和野の特産品の販売イベントを行ったり、先日行われた「西周」のイベントは、定員いっぱいの15人の参加者が集まる大盛況のイベントとなりました」

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-02-23-30-33

「西周」のイベントは津和野町地域おこし協力隊の石井さんが中心となって、ゲストスピーカーも招き、西周の人生や彼自身が受けた影響、彼が生み出してきた言葉の世界観などを語らう会である。このイベントは、今後も津和野町を中心に開催されていく予定だ。

 

さて、最近開催されてきたイベントの話が終わった後に、津和野の名産に関する説明がなされていく。

 

「津和野は昔からわさびの産地として有名なんです。かつては津和野のわさびを一つ東京の高級寿司屋に持っていくと、それだけで寿司をお腹いっぱい平らげることができと言います。ちなみに、現在の文京区長も津和野のわさびが大好きなんですよ(笑)」

dsc_1062

最後に弘重さんは、力強く参加者にこのメッセージを伝えた。

 

「個人の思いに賛同してくれる環境があることこそ、津和野で農業をすることの最大の魅力だと思います」

 

そう、個人の可能性を拡大していく土壌が、津和野の農業にはある。

dsc_0397

津和野で農家として活躍されている三宅さんは、まさにそのことを絵に描いたような生き方をされていた。

自分で”今日の暮らし”を作る仕事

 

次に登壇したのは、「まるごと津和野マルシェにも関わる農家の三宅さんだ。

 

彼女は、生まれも育ちも津和野という今では珍しい地元一筋の人間である。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-03-0-34-37

彼女はこれまで、漬け物コンテスト・加工品勉強会・小学生〜大学生向けの農業体験・野菜のセット販売・商品説明のPOP作りなど、数々のプロジェクトを自らの手で起こしてきた農業”イノベーター”ならぬ農業”マイスター”だ。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-02-23-34-51

彼女は現状の農業支援のみならず、これまで興してきたプロジェクトや農業を通しての生き方など、幅広い分野に関してイキイキと話された。

 

「私は農業を、”自分で今日の暮らしを作る仕事”だと思っています。

 

自らの手で野菜を育てる農業ではありますが、大自然の前ではそんな努力の結晶が、一夜にして無と化してしまうこともあります。だからこそ、謙虚な気持ちで大地や自然の恵みに感謝することができるのです」

dsc_0416


実際に農業をされている方だからこそ、口から発せられる言葉の重みがずっしりと伝わってくる。

 

そんな彼女の言葉は、自然と熱を帯びてくる。

 

「津和野町では、少量多品目農家という形が一般的であり、私もそんな農家の一人です。私は大学で農業を学んだ後に鳥取で農業研修を受け、3年前にUターンで津和野に戻ってきました。実際に自分で農業をしてみると、大学で学んだ知識が実際の農業であまり関係ないことに気づきました。現に津和野で農業に就業されている方は、それまで全く農業に携わってこなかった方が多いんですよ

dsc_0426

現在島根県でも推奨しているのは「半農半X」という形の農家だ。これは、農業と何か別の仕事を掛け合わせていることを指している。他の仕事もしつつ、農業によって持続可能で小さな暮らしを実現していくのだとか。だからこそ儲ける手段も100人100様。自分が就農する以前に積み上げてきた経験こそが、そこで生きてくるのだ。

dsc_0451

また、一人の立派な農業女子である彼女は、農業に携わる女性への行政的・社会的な支援も紹介していく。

 

「現在、農林水産省は”農業女子”というワードを積極的に押し出して農業女子を応援したり、農業機械メーカーとコラボして女性用の農業用機械が開発されるなど、女性でも十分に農家としてやっていける体制が整ってきています。」

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-02-23-39-28

近年の社会的な流れが後押ししていることも手伝い、女性の就農へのハードルも幾分低くなってきているようだ。

 

『津和野で自分らしく』という言葉を掲げていた三宅さん。
%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-02-23-40-12

ただそんな彼女の活躍も、彼女一人の力ではなく、津和野町の町をあげての取り組みがあってこそ生まれてきたものであった。

 

助け合い支え合う土壌

「津和野町農林課に所属しております、佐伯といいます。よろしくお願いします」

dsc_0440

次に登壇されたのは、津和野町役場農林課の佐伯さん。

 

落ち着いた語り口調で、就農支援のことを中心に、農家さんの様々なケースや参加者からの質問などに対して、一つ一つ丁寧に受け答えをされる姿がとても印象的だ。

 

「津和野町では、それまで農業に全く携わった人たちのために、農業体験プログラムを実施しています。そのプログラムでは、農業体験のみならず、空き家の案内や観光・地域での飲みの場に参加することができ、日程や内容をご自身でオーダーメイドできます」

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-02-23-43-17

 

実際に農業に触れることができるだけでなく、津和野を存分に満喫することができるという、何とも手厚い支援である。

 

そして、就農した後の手厚さも、津和野で農業をやることの魅力の一つだ。

 

津和野での就農を夢見る参加者の目は、自然と画面に釘付けとなる。

dsc_0446

「津和野の農業研修制度は非常に充実しており、1〜2年程度は現地の農業法人か農家さんの元で経験を積むことができます。その際、15万円+家賃補助金が農業研修者の方に支給されます」

 

なるほど。それほどの支援があれば、田舎での生活に困ることもないだろう。しかし、農家として独立された後の手当てなどはあるのだろうか。

 

「就農前の研修期間中は300万円の補助、就農独立後の農業施設や機械の整備を行うための費用のうち、3分の1の助成金が給付されます。さらに、青年就農給付金により、年間150万円の給付を最長で5年受けることができるんです

 

こうした助成制度も手伝ってか、U・Iターンで津和野に住まれる方は、年々増え続けている。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-02-23-46-02

次にそんな彼らが過ごしている生活のケースの紹介があった。

 

「鵜飼(うかい)さん夫婦は津和野に移住されて、4つのハウスで山菜・花作りに励まれております。『楽しく、忙しく』をモットーに、ハツラツと農業に励まれていますよ。また、農業・加工・販売の全てを賄い”一人6次産業”を自称されている山田さんや、世界一のわさびを作ってやると意気込んでいる増子さんなど、移住されてきた個性的な人たちがイキイキと活躍されています」

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-02-23-47-05

慣れない田舎に移住してくることは、それなりの覚悟がないと中々できることではないだろう。それでも、そんな思いを吹き飛ばしてしまうような、彼らが毎日を楽しく過ごしている様子が目に浮かんでくる。何より素晴らしいのは、単純に津和野の伝統的な野菜を作り続けるのではなく、自分が作りたい野菜を自分なりに作っているところだ。

 

そういったことができるのも、町を上げての様々な支援があってこそなのだろう。
 

津和野で農業をすることの意味

 

異なった立場である3名の方からの講演は終了し、津和野産の野菜にイノシシ肉が入った鍋が振舞われる懇親会が始まった。

dsc_0460

彩溢れるお鍋を食べながら、それぞれが自分の思いについて語り合う。

 

参加されていた中には津和野で農業をすることを真剣に考えておられる方もいれば、津和野や山陰地方が大好きな人、純粋に津和野に興味がある人など、各々が違った動機を持って来られているのが印象的であった。

 

会の最中に「T-Space」の次長である宮内さんが、

 

「農業の技術的なところでは、津和野よりも進んでいる地域はたくさんある。ただ、就農者への支援に関しては、津和野はどこにも負けない」

dsc_0472

と強くおっしゃっていた。

 

どんな環境においても一人で生きている人はいない。

 

大自然を相手にする農業は、時には人が抗うことのできない困難が待ち受けていることもあるだろう。

 

そんな環境だからこそ、津和野の人や文化・大地の全てが仲間となって、お互いを助け合える形を築き上げてきた。

 

その助け合いによって、土壌を自分の色に染め上げてきた人達が津和野にはたくさんいる。

 

今回のイベントの参加者たちは、

 

これから津和野の土壌をどんな色に染め上げていってくれるのだろうか。

%e3%82%b9%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%88-2017-01-03-0-27-54

(文・写真/前田健吾)

津和野町東京事務所「Tsuwano T-Space」

TEL:03-5615-8358

住所:〒112-0002 東京都文京区 小石川2-25-10 パークホームズ小石川103-3号

 

津和野町役場農林課

TEL: 0856-72-0653
FAX: 0856-72-1650
E-mail: nourin@town.tsuwano.lg.jp

住所:〒 699-5605島根県鹿足郡津和野町後田ロ64番地6

島根県津和野町発信、生き方を探すローカルメディア

Copyright© ツワノシゴト模様 , 2017 All Rights Reserved.