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「雨を感じられる人もいれば ただ濡れるだけの人もいる」〜”冬虫夏草”を新たな津和野の名産に〜(にちはら総研・高久さんインタビュー)

にちはら総合研究所。

旧日原町に入ってすぐの住宅地の一角に、その会社の建物はある。

この建物の中で、中国歴代王朝も漢方として重宝してきたとされる”冬虫夏草(とうちゅうかそう)”が作られているという。

一般にはそれほど名の知られていない冬虫夏草であるが、そこに携わる人は一体どのような思いで生産されているのだろうか。

今回は、冬虫夏草を生産するにちはら総研(にちはら総合研究所の通称)の「高久(たかく)奈央」さんにお話を伺ってみた。

トライ&エラーの毎日

にちはら総研では、正規社員の方4人、地域おこし協力隊員2人に加え、繁忙期のみ地域の方数名がパートとして協力してくれるという少数の体制で、仕事を回されている。

「冬虫夏草の培養に関しては全て手作業で行っており、毎日がトライ&エラーの繰り返しです。現在働いているメンバーの中で、専門家はたった一人しかいない環境なので、他社で冬虫夏草に携わっている方が私たちの作業環境を見ると、すごく驚かれるかもしれませんね」

そう語った高久さんは、どこかあっけらかんとしている。

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旧日原町には”石西社(せきせいしゃ)”という生糸工場があり、かつては島根県最大の生糸の生産量を誇っていた。しかし、化学繊維の発達などによって生糸産業が衰退すると同時に、養蚕農家も急速に減少する。そんな養蚕を残していこうと津和野町(旧日原町)が、蚕を用いた冬虫夏草の研究を始めたのである。

2005年にそんな津和野町(旧日原町)の研究を全て引き継ぎ、株式会社にちはら総合研究所が設立された。

「冬虫夏草は養蚕の季節である5〜10月の間に一気に作ってしまうため、その期間に休みはほとんどありません。それ以外の期間、特に冬は商品開発をしています」

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基本的には工場内で培養作業をしているという高久さん。その仕事のやりがいとは一体何なのだろうか。

「基本的にお客様の顔が見えない仕事であるので、お客様からコンタクトが来た時は本当に嬉しいですね。私たちの口から効能を伝えることができないのでもどかしい気持ちもあるのですが、身体がポカポカするとか風邪が治ったとか、わざわざメッセージを伝えてくださる方もおられます。そういったことを聞けたときは、本当に嬉しい気持ちでいっぱいです」

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冬虫夏草は古くから漢方薬の原料として用いられてきた。また、免疫力アップや細胞修復、体温の上昇などその効果は幅広い

薬事法上、生産者さんがその効果を伝えることができない状況に対して、非常に歯がゆい思いをするのは容易に察することができるが、そんな中でもその効果を得られた喜びを伝えてくれるお客様がいること。そのことをおっしゃる高久さんの顔は、自然とほころんでいた。

虫から生えてくるキノコに陰陽五行説の思想(?!)

では、そもそも冬虫夏草とは一体何なのだろうか。

「冬虫夏草とは虫から生えてくるキノコのことです。にちはら総研では冬虫夏草を培養するために、まず蚕を育てて繭(まゆ)にし、繭を切り開いてサナギを取り出し、冬虫夏草菌を注射器で植えつけます。そのサナギから生えてくるキノコが冬虫夏草です。全て手作業のため培養に失敗してしまうこともありますが、この工程はにちはら総研オリジナルのものですので、そこには強い誇りを持っています」

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このオリジナルの培養方法は、津和野式として津和野町が特許をもっている。

そんな冬虫夏草は漢方として知られているものであるが、にちはら総研は冬虫夏草をブレンドしたお茶”伝統五行茶(でんとうごぎょうちゃ)”を出荷している。

「冬虫夏草を津和野の新たな名産にするため、おいしく味わっていただきたかったからです。伝統五行茶という名前は陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)に由来しているのですが、その陰陽五行説を参考にして、オリジナルにブレンドした5種類のお茶として商品にしました」

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陰陽五行説とは、自然界は木・火・土・金・水の5つの要素から成り立っており、これらの要素が循環することによって万物は成り立っているという思想のことである。

この取材に当たって、我々には伝統五行茶の一つである『伝統五行茶 其の壱 巡りのきほん』が振る舞われた。一口飲んでみると、味には全くクセがなく風味もそれほど強くはない。津和野のお茶と言えば、まめ茶やざら茶を始めとする、強い風味が特徴的なものが多い。ところで、何だか身体がポカポカしてきた。

それもそのはず。このお茶には、カワラケツメイ、ハトムギ、生姜、ハナビラタケ、唐辛子、これらが冬虫夏草とともに配合されているのだ。冬虫夏草の他にも、身体を温める要素が満載のお茶なのである。

それにしてもこの伝統五行茶、何をキッカケにして作られたのだろうか。

「このお茶は、今年開発されたものです。キッカケは、社長が香港・台湾に訪れた時に、屋台で体調に応じていくつもの原料をブレンドしたスープが提供されているのを見たことです。現地には”医食同源”という思想があり、身体に良いものを飲んだり食べたりして体調を整える、という考え方があります。津和野では、医食同源”をコンセプトにしたレストラン《糧ーハタガサコ×72recipes project》や、シルクウェイにちはら・なごみの里などの道の駅にて、この伝統五行茶をお買い求め頂くこともできます」

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普段から身体に良いものを食べて飲んで、自分の体調を整えるという”医食同源”の思想。伝統五行茶であれば、今すぐにでも始められそうだ。

ジンギスカンキャラメル≒冬虫夏草

ところで、実際の冬虫夏草の味はどのようなものなのだろうか。

ちょうど、できたてホヤホヤの冬虫夏草があるとのことのなので、試しに食してみた。

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すると、、、何とも表現できない風味が口内に広がってくる。思い出されるのは、北海道への修学旅行に訪れた際に、怖いもの見たさで食べてみた定番のお土産、ジンギスカンキャラメルである。

お茶にすると全くクセがないものの、そのままで食べてみると、ただただクセしか残らない。何とも不思議な食べ物である。

「そのまま食べるとおいしくないですよ(笑)。私達は水炊きや湯豆腐、お酒などにして飲んだり食べたりしています。冬虫夏草が身体に良いことは間違いないので、美味しく食べられるに越したことはないですよね」

冬虫夏草を美味しく食す為のレシピの開発も、今後の課題となってくるようだ。

雨を感じられる人もいれば ただ濡れるだけの人もいる

最後に、恒例のマイスターの一言をいただいた。

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雨を感じられる人もいれば ただ濡れるだけの人もいる

何とも考えさせられる言葉。この言葉は”レゲエの神様”と謳われたあのボブマーリーが言ったことなのだとか。

「たまたま読んでいた本を、パラパラとめくっていた時にこの言葉が目に飛び込み、思わずページをめくる手を止めてしまったんです。この言葉には強く心を打たれました。仕事をしていて、もちろん大変なことはたくさんあるのですが、そんな苦労もいいものだったと感じられるように、毎日仕事に励んでいます」

たくさんの人に健康になってもらいたいという生産者の思いと、

顔が見えないお客様とは、

積み重ねられた試行錯誤の結果生まれた”冬虫夏草”を通して繋がっている。

それがあるからこそ、困難な状況もいいものだったと感じることができるのだろう。

にちはら総合研究所オリジナルの冬虫夏草をブレンドした「伝統五行茶」。

ぜひ、一度味わってみてはいかがだろうか。

(文/前田健吾)

 

今回紹介させていただいたにちはら総研の「伝統五行茶 其の壱 巡りのきほん」は、『津和野町ふるさと納税制度』からお求めいただくことができます。詳しくは外部サイトまで。

外部サイト:ふるさとチョイス「伝統五行茶 其の壱 巡りのきほん」

株式会社にちはら総合研究所

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島根県鹿足郡津和野町枕瀬151-1

Tel: 0856-74-1318

Fax: 0856-74-1348

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