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2016.12.05

津和野のわさび農家の思いを紡ぐ! ジェイエイ日原山菜加工場・工場長ー村上さん【わさび×加工×マイスター】

100年以上の歴史を誇る津和野の「わさび漬け」

 

「鮎とわさびと絹の町、日原へようこそ」

津和野町の旧日原地区の入り口に差し掛かる道路には、こんな看板が掲げられている。わさびというと市販の練りわさびを連想されるのが一般的だが、わさびが名産である津和野では、わさびが多様にアレンジされて提供されている。“わさび漬け”もその一つであり、かつては津和野のどこの家庭でも作られていた。

そんなわさび漬けは、今どんな思いで紡がれているのだろうか。

今回は、道の駅「シルクウェイにちはら」に併設されたジェイエイ日原山菜加工場にてわさび漬けを生産する、村上一真(かずま)さんにお話を伺った。

 

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少数精鋭でのわさび漬けづくり

 

朝早いにも時間にもかかわらず、とても快活な様子の村上さんは、我々の取材にもハキハキと応じてくれた。なんと7時過ぎにはすでにわさび漬け作りを始めているのだそう。この取材後は、わさびの葉を漬ける原料づくりを始めるのだとか。

 

「通年は3人でやっとる。わしは初めて2年ぐらいだから、今は先代が作ってきた味を守ることに必死。」

 

そう言って、村上さんは笑った。

 

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ずっとJAに勤めていた村上さんだが、2年前からこのジェイエイ日原山菜加工場に勤めることになったのだそう。しかし、2年しか勤めていないとは思えないぐらい豊富な知識で、我々にわさび漬けのわさびやその原料のことについて語ってくれた。

 

 

わさび漬けとは

 

村上さんは何を隠そうここ津和野町の須川地区出身で、現在もそちらに在住している生粋の津和野の町民である。そんな村上さんにとって、わさび漬けはそもそも非常に身近なものであったそうだ。

 

「わしが子供の頃は、わさび漬けはどこでも作っていた。現在は水わさびの生産が主流だが、当時は多くの農家で畑わさびを生産していた。津和野発祥のわさび漬けは、わさびの茎や葉の部分を醤油に漬け込むもの。だから畑わさびのような、わさびのイモの部分があまり肥えておらず、葉や茎が長い種類には最適じゃった。わさび漬けは地元の須川ではよく作られていたんよ。祭りなどの節目の時には、わさび漬けがよく振舞われていたもんじゃ。」

 

 

津和野のわさび漬けは、一般にイメージされるわさび漬けとは少し異なる。

一般に連想されるのは関東のわさび漬けで、細かく刻まれたわさびの茎が酒粕に漬けられているものだ。しかし津和野のわさび漬けは、ガニ芽というわさびの新芽の葉が醤油に漬けられているものである。今でも根強い人気を誇る津和野わさび漬けではあるが、時代の流れには逆らえなかった。

 

「わさび漬けというのは夜に作られるものなので、その夜に労働するというのはしんどいもんなんよねぇ。今は後継者不足で、わさびもわさび漬けもほとんど作られなくなったんよ。」

 

津和野の素晴らしいわさびを世に

 

村上さんは言う。

 

「ここ数年の間に農業研修生として、外部から津和野に来たコ達が、わさび農家として津和野で水わさびの生産をがんばっているんよ。島根のわさびといったら匹見のわさびをイメージされる方もおられる。そこと競うってのはおかしいけども、”津和野のわさび”こそ素晴らしいんだよという気持ちでがんばってもらいたい。

 

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近年の水わさびの生産は、津和野町の左鐙(さぶみ)地区を中心に行われている。そんな水わさびの葉や花は、独特の風味とほのかな辛味が特徴的だ。

わさび漬けの売り上げは、かつては1億を優に超えていたそう。しかし、近年は3千〜4千万円くらいだ。わさび漬け自体の需要はまだまだあるのだが、いかんせんわさびの生産量が少ないのが原因である。つまり、これからのわさび生産を担う人材が必要とされているのだ。

 

 

生産者に意欲をもってわさび作りに励んでもらいたい

 

かつて漫画『おいしんぼ』に掲載されたこともある、津和野のわさび。村上さんは、そんなわさび農家が丹精込めて作ったわさびを、いかに美味しく消費者に届けるかということに尽力している。

 

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「津和野のわさびは、醤油は奥出雲産じゃけど、それ以外の原料は全て津和野産のものを使用しとるんよ。それは、津和野産わさびの独特の風味を保つため。また、おいしいわさび漬けを作るために、めちゃくちゃ重要なんが温度。この温度調節によって辛さが全然違うけぇ、そこにはめちゃくちゃ気を使ってる。」

 

津和野の水わさびは、津和野に植生している広葉樹の栄養が川に流れ、その栄養を汲み取って肥えていく。おいしいわさび漬けを提供することに尽力した結果として、わさび漬けの原料はほぼ津和野産になったのである。

また、村上さんにはわさび漬けを提供することの先に、彼自身の大きな目標が存在する。

 

「我々がおいしいわさび漬けを提供する。そのことによって、津和野の生産者さん達に意欲をもってわさび作りに励んでいただきたい。」

 

 

最後に力強く、そうおっしゃった村上さん。

インタビュー中に何度も、”津和野のわさび”や”津和野のわさび農家”という言葉が出てきた。それらの言葉は、ただ単にわさびの生産量を増やすという思いではなく津和野一筋で生きてきた”マイスター”としての「人と人との繋がり」をこれからも大切に紡いでいくんだという熱い気持ちそのものであった。

※本記事は11月に村上さんにインタビューした模様をまとめたものです。

 

(文/前田健吾)

 

 

ジェイエイ日原山菜加工場

 

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