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津和野の新たな名産は”イノシシ肉”(?)ジビエブランド『ZIBIYA』代表「栗原紗希」さんにインタビュー【イノシシ肉×マイスター】

11月26日の土曜日の厨ファミリア

ここで、新たな津和野の名産”イノシシ肉”を提供するジビエ肉ブランド『ZIBIYA(ジビヤ)』が、第一回目のBBQ企画『ZIBIYA GRILL(ジビヤグリル)』を開催した。

高級感が漂う空間で、肉汁が滴るバリエーション豊かな料理の数々が振舞われた。

そんな『ZIBIYA GRILL』の主催者である栗原紗希さんに、お話を伺ってみた。

 

イノシシ肉をもっと身近に

ー25人超の満員の企画となりましたが、振り返ってみていかがですか。

栗原さん:

初めての企画ということもあって、始まる前は不安な気持ちでいっぱいでした。けれども、スタッフが準備の段階からとても頑張ってくれて、お客さんも私達が振舞った料理や厨ファミリアの空間にすごく満足してくださったので、何というか、たくさんの人々に支えられたという印象です。もう、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
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ーそもそも、この企画を始めたキッカケは何ですか。

栗原さん:

津和野ならではの、臭みやクセがなく、噛めば噛むほど脂の味が染み渡ってくるイノシシ肉を、たくさんの人に味わっていただきたかったからです。

イノシシ肉を扱った料理と言うと、ボタン鍋を始めとしたハードルの高い高級料理というイメージがあります。けれども、本当はもっと色んな料理に応用できるお肉なんです。それを伝えるために、今回はイノシシ肉の串焼きや赤ワイン煮込みやミネストローネ、パエリヤといった、洋風にアレンジした料理を提供しました。一番人気は、イノシシ肉のシュラスコでしたがね…(笑)

ーやっぱり焼いたお肉が一番おいしいんですね。(笑)来られたお客さんからは、あまり一般的ではないイノシシ肉のおいしさに、かなりの反響があったと伺ったのですが、具体的にはどんな声をいただいたのでしょうか。

栗原さん:

一番多かったのは、やっぱりイノシシ肉の臭みやクセの無さに関してです。

イノシシ肉といったら独特の獣臭が特徴というイメージもあると思うのですが、津和野のイノシシの猟師さんの血抜きの技術は非常に高いもので、その獣臭が全くないのです。ここには、お客さんはかなり驚かれたみたいですね。

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そして、ダイナミックなBBQをしたかったので、ネギやピーマン、メロンを始め、野菜やフルーツを丸ごと焼いてみました。お客さんからは、丸ごと焼いたネギがかなりおいしかったみたいで…これには私自身驚かされました。(笑)

ーこの企画で提供された料理のイノシシ肉を始めとする材料のほとんどは、津和野産のものを使用されたと伺っています。その辺りへの思い入れなどを聞かせていただけますか。

栗原さん:

津和野のイノシシ肉とともに、津和野の野菜にも思い入れがあるからです。

私は津和野に移住して3年になりますが、この事業を始める前は「まるごと津和野マルシェという津和野の野菜を直売する事業に関わっていました。地元で採れた新鮮な野菜は甘くて本当においしいんです。今回、野菜を丸ごと焼いて提供したのも、できるだけ手をかけずに素材の味を味わってもらいたかったからです。

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これからもイノシシ肉だけではなく、津和野の野菜も多くの人々に味わってもらいたいと思います。ちなみに、今回提供することはできなかったのですが、焼いたイノシシ肉に津和野のワサビをつけるととてもおいしいんです。津和野のワサビは、一般的に販売されているものほど、辛味がくどく無く、ほのかにピリッとする感じが特徴的です。どちらもクセがないので、相性がいいんでしょうね。今後のBBQ企画でも、ぜひ提供できればと思います。

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イノシシ肉に感じた無限の可能性

ーイノシシ肉というと、我々の生活にはあまり馴染みがありません。その事業を、なぜご自身で興そうを思われたのですか。

栗原さん:

かつてこのHPにて掲載していただいた私のインタビュー記事にもありますが、私はずっと一次産業に関わって、何かできることはないか考えていたんです。過去に多くの国の田舎を訪れて、自然を相手に働いている人たちと会って来たのですが、みんな共通して自分の仕事に向き合ってこだわり抜いている姿が、イキイキしていてカッコイイんですよね。

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そのような経験から津和野の商品を売り出したいと考え、津和野の特産物である鮎や津ガニを東京に卸していたのですが、どれもあまり上手くいきませんでした。ある時、私が狩猟免許を取得したということを、東京の日本橋に学生時代からお世話になっている寿司屋の大将に伝えたら「イノシシ肉を送ってみてよ」と言われ、何の気なしに津和野のイノシシ肉を送りました。

後日、お肉の感想を伺ったところ、「めちゃくちゃおいしいじゃん」と言っていただいて、これならいけるかもしれないという手応えを感じたのです。何より私自身が津和野でイノシシ肉を食べた時は本当に感動しましたからね。(笑)それが3年前くらいですが、今でもその瞬間を覚えているくらいです。それからイノシシ肉のことを調べてみると、それにまつわる多くの社会問題があることを知りました。実際、私の実家がある静岡県でも、イノシシによって茶畑が荒らされていたこともあったんです。それらのイノシシにまつわる問題を解決し、津和野のおいしいイノシシ肉を多くの人に知ってもらいたいという思いから、1年前からイノシシ肉の事業を興そうと決心しました。

ーかつてのインタビューでは、今年の丁度この時期に独立して事業を興すとおっしゃっていましたが、現状それは難しいようですね。今後の展望を聞かせていただけますか。

栗原さん:

その当時は、事業を興したばかりの時期だったので、起業した時に起こりうることが想定できていない部分もありました。実際に事業を興してみると、関係者の利害関係や意向に寄り添うことが思った以上に大変だったんです。今はその時期を乗り越えて、消費者のニーズに適う商品開発や私の思いについていきくれる仲間集め、独立してやっていくためのビジネスプランを考えているところです。今はサポートを受けながら事業を興しているところではありますが、来年の秋頃には、この事業は完全に独立してやっていく予定です。

そして、将来は海外に進出していくという夢は、今も変わっていません。

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頑張って、できるとこまでやってみればいい

ー今度は少しパーソナルなところを伺わせてください。栗原さん自身、すごく精力的に活動されていますが、その辺りご家族の影響などはあったのでしょうか。

栗原さん:

それは大いにありましたね。私は昔から、いいなと思ったことがあったらすぐに飛びつくタイプで、それは父からの影響だと思っています。

アウトドア好きな父は、平日早朝の会社に行く前に、何やら焚き火をしていることがよくありました。今でもそれは変わっていません。(笑)一方で、父はとても博学な一面もあります。女で一つで育て上げられ、工業高校を卒業しすぐに就職した父ですが、分厚くて何冊もあるような百科事典を全ページ読んだという伝説を持っていて。薄く広くではありますが、父の頭には色んな知識が詰め込まれています(笑)。また、とても面倒見の良い人情溢れる人でもあります。かつて、一度だけ家に泊まったフィリピン出身の女子高生から、お父さんの病状が思わしくないのでお金を工面してもらえないか、と連絡が入ったときも、迷いなく彼女にお金を送金していました。数年前に長年の仕事の疲れから、しばらく仕事を休んでいた時期もありましたが、その時も父を訪ねに来る人達が耐えませんでしたね。

母はというと、とても几帳面で、毎日家計簿を欠かさず書いているような人です。私自身はあまり数字に強くないタイプなのですが、母を見習わなきゃなぁと思いながら、毎日事業に向き合っています。私は反抗期が長くてたくさん喧嘩もして、両親には本当に苦労をかけてきました。けど、今になって、ごく悩んでいるときに電話をすると、「頑張って、出来るとこまでやってみればいいじゃん」と軽く言ってしまう父と母の器の大きさには頭が上がりません。

ー大変素敵なご両親から、多大な影響を受けられているのですね。込み入ってお伺いしますが、ご兄弟はいらっしゃるのでしょうか。

栗原さん:

兄弟は兄が一人います。彼は私の仕事を手伝ってくれたり、東京でイノシシ肉のイベントを開催した際には必ず訪れてくれる優しい兄です。今の猪肉の事業も、家族の応援があってこそ出来ていると思っています。両親、兄、尊敬して止まない家族です。

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ー本当に素敵なご家族に囲まれているからこそ、今の自分の事業にしっかりと向き合い活動できているのですね。最後に、『ZIBIYA』の代表として、栗原さんからこの記事を読んでいる方に、メッセージをお願いします。

栗原さん:

津和野のイノシシ肉は、11月から2月のドングリやシイの実をたくさん食べた肉だけを取り扱います。CAS急速冷凍で鮮度を保ったまま保存した肉は、くさみやクセがなく、お客様から大変好評を頂いています。今回開催した『ZIBIYA GRILL』のように、少しでもたくさんの方々に召し上がっていただけるイベントを定期的に開催していく予定です。『ZIBIYA』の活動はまだ始まったばかりですが、ワクワクしながら前進していこうと思います。よろしくお願いします!

 

静岡県の浜松市から4年前に津和野に移住された栗原さん。

沢山の壁にぶつかりながら、イノシシ肉事業という自分のやりたいことを見つけ、現在も事業の独立に向けて奔走されている。

そんな精力的に動いている彼女のルーツには、尊敬して止まないご家族の存在があった。

今回の企画である『ZIBIYA GRILL』は、そんな彼女のイノシシ肉事業の第一歩。

来年の秋に向けて、自身の力で飛び立とうとしている彼女の目からは、その目標を貫いていくんだという強い意志がヒシヒシと伝わってくるものがあった。

そんな彼女の姿を見ていると、心から応援せずにはいられない。

※シュラスコー鉄串に肉を大胆に刺し通して炭火でじっくり焼き上げるブラジル料理

(文/前田健吾)

ー栗原さんの過去記事はコチラ

■『ZIBIYA』ウェブサイト

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■『厨ファミリア』住所

〒699-5613 島根県鹿足郡津和野町鷲原819

【「ZIBIYA GRILL(ジビヤグリル)」主催者:栗原紗希『ZIBIYA』プロフィール】

info@nakamurahitoshi.com

1988年生まれ。静岡県浜松市出身。

学生時代には20カ国以上の国を訪れ、かっこいい職人がいる田舎町はどこも輝いてると感じる。上智大学法学部卒業後、2013年秋より、株式会社「FoundingBase」傘下のプロジェクトにて、津和野町地域おこし協力隊として活動。町内農産品の販売事業に関わるなかで、地域に根づき、独自の手法で生業をしてきた農家や猟師の背中に心を奪われる。最高に美味しくて感動する津和野のイノシシの販売に挑んでいる。

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