急須で淹れた本物のお茶を味わえる。「秀翠園」で茶摘み体験をやってみた。
5月6日の金曜日。
澄み渡るような青空がどこまでも広がっている。
青野山を始めとする雄大な山々に囲まれた、『指輪物語』のワンシーンのような風景の一角にある「秀翠園(しゅうすいえん)」の茶畑。
香ばしい風味が特徴的な津和野の名産”まめ茶”を始め、様々な種類のお茶がここで栽培されている。
そんな「秀翠園」で、お茶をもっと身近に感じてもらうべく、茶摘みの体験会が行われた。
一番茶とは
一番茶とは、その名の通り年で初めて収穫するお茶の事。一般的に4月下旬から5月上旬ごろに収穫されものだ。この時期に摘んだお茶の葉は柔らかく、前年の収穫以降の栄養を蓄えているため、「味」と「香り」共に最高の品質だと言われている。
古くから「夏も近く八十八夜(はちじゅうはちや)」と歌われるように、立春から数えて八十八日目の5月2日頃のことを八十八夜と呼ぶ。またお茶という漢字を解体してみると、草冠と八十八に分けられる。八十八夜の前後に収穫されたお茶の事を、新茶(一番茶)と呼ぶのである。
この日の体験会には津和野町内、益田市や岩国市からの参加者や、津和野高校に通う高校生も参加。オープニングでは、お茶を唄った民謡「ちゃっきり節」を益田市の民謡団体が披露した。
お茶農家さんの想い
このイベントはお茶にもっと触れ合う機会を持って欲しいと、秀翠園を運営する
田中直典さん・懸志朗さん親子が発案したものである。
「若い人はペットボトルのお茶を飲むことが多ので、新茶を飲む機会が少ない。
それは勿体無いと感じ、2014年からこの企画を始めました」と息子の懸志朗さんは語る。
茶摘み体験では、先端から茶葉2枚分を摘み取る「一針二葉(いっしんによう)」という方法で収穫。時々蜘蛛の巣も見られたが、これも農薬を使用していないからこそだ。
茶摘み体験の後は、秀翠園の茶葉から作られた煎茶をいただいた。日照時間が少ないため甘み成分を多く含み、水はけの良い津和野盆地の土で育った秀翠園のお茶。
水は青野山の伏流水を使用している。煎茶であるにもかかわらず、甘くとろけるような感覚は、この「秀翠園」の煎茶でしか味わえない。
お茶体験の後も、お茶の天ぷら、お茶っ葉を使ったオニギリ、お茶をペースト状にしたピザなど、お茶から無限のポテンシャルを感じさせる数々の料理が振る舞われた。
お茶を唄った伝統民謡に始まり、あたたかい太陽の日差しのもと、お茶の香りで溢れている茶畑の中で、地元高校生と一緒に行った茶摘み体験。「秀翠園」でしか味わえないお茶のフルコース。
そして、いただいた煎茶から感じることのできた、お茶の独特のとろみや風味。それは、急須で煎じたお茶だからこそ味わえるものであった。
「もっと多くの人にお茶を身近に感じて欲しい」という田中さん親子の想いに
より開催されたこのイベント。
以前よりもお茶に親しみを感じることのできた1日であった。
「秀翠園」HP:http://www.shusuien.com/
まめ茶の「秀翠園」HP:http://mamecha.jp/#top
住所:〒699-5602 島根県鹿足郡津和野直地142-1
TEL: 0856-72-2204
FAX: 0856-72-0848
E-mail: info@mamecha.jp
(文/宮武優太郎)