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「言葉通りの地酒を作りたい」”津和野人”に愛される日本酒『初陣』ができるまで

 

厳しい冬を越えて生まれる『初陣』

今回は古橋酒造社長・古橋貴正さんにインタビューをさせていただいた。津和野町で古くから親しまれている『初陣(ういじん)』。その名前の由来は何なのだろうか。

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「命名者は、古橋酒造の創業者・古橋八太郎です。彼は元々武家出身。幕末に鳥羽・伏見の戦いで”初陣”を飾ったことから、この名が付けられています。創業期の初心を忘れずに大事にしよう、との意味も込められているようですね。明治11年に古橋酒造が創業されてから、地元の方、観光客の方に長い間愛されてきたお酒です。最近ではドイツや台湾のイベントにも、出品させていただきました」

そんな歴史ある造り酒屋を引き継いだのが、古橋さんだった。

「創業者から数えて、私の代で五代目です。私自身も、もちろん津和野で生まれて、津和野で育ちました。町内ではスポーツ応援団を結成していて、酒造りが始まるシーズンの前は良く観戦に行っています。応援チームが優勝した際には酒蔵を使って、祝杯をあげたりしていますよ」

しかしいざ冬場の酒造りシーズンが始まると、苦労も多いとのこと。

「津和野の冬は水道菅が凍結してしまうほど厳しいです。仕込み水は山から持ってくるので、雪が深く積もると取りに行けなくなるんですよ。また酵母は低温発酵のため、お酒の仕込み温度は常に15度〜16度で保たなければならない。その日の気温や気候と向き合わなければ、良いお酒は造れません。自然と戦う、といった感じでしょうか。この仕事をして一番喜びを感じる時は、やはり辛い冬を越えて、その年始めてのお酒ができた時ですね」

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醸造管理の難しさは、使っている水にも理由があった。

「津和野の青野山の麓を流れる清水を使っています。本来酒造りには硬水が向いていますが、この土地の水は超がつくほどの軟水です。軟水は発酵がゆるやかなため、寝る暇もなく温度調節に目を配らせる必要があります。だからこそ『女酒』と呼ばれるほどの、喉越しのやわらかいお酒を造ることができるんです」

言葉通りの地酒を作りたい

古橋さんの素材へのこだわりはまだまだある。

「使用している酒米も津和野産のお米です。寒暖差の大きい津和野で収穫されたお米は糖分を多く含み、お酒にまろやかな味わいをもたらします。

また酒造りに従事する『蔵人(くらびと)』は、以前は別の地域から呼んでいましたが、現在は津和野の職人に働いてもらっています。『米』・『水』・『蔵人』、オール津和野産の純米酒が、『初陣』なんです」

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使用する「素材」、それを育む「自然」、それを管理する「人」。『初陣』は全てが津和野にあるもので造られている。津和野産にこだわる理由は何故なのだろうか。

「私は言葉通りの、地酒を造りたい。津和野で生まれ、育ち、物心ついたころから“津和野で造り酒屋になる”と考えていました。生産者さんや、周囲の方々にも昔からたくさんの恩をもらっています。なるべく地の物を使い、地元の方でも愛してくれる地酒をつくりたい。津和野の風土を、お酒のビンの中にぎゅっと入れてみたい。そんな思いで、『初陣』は作っているんです」

古橋さんの津和野への愛が注がれた一杯、『初陣』をぜひ味わってみてはいかがだろうか。

古橋さんこだわりの地酒『初陣』は『津和野町ふるさと納税制度』を用いても、お求めいただくことができます。詳しくは外部サイトまで。

外部サイト:ふるさとチョイス「津和野地酒『初陣』 純米酒 原酒セット」

「古橋酒造株式会社」

住所:〒699-5605 島根県鹿足郡津和野町後田ロ196

TEL:0856-72-0048

FAX:0856-72-0098

(文/宮武優太郎 )

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