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裸の”漢”達が神輿を振り回す(?) 津和野町日原地区の「裸神輿」に参加してみた

季節は秋。

のはず、なのだが秋を通り過ぎて冬になったというぐらい、外は冷え切っている【11月13日の日曜日】。

このめちゃくちゃ寒い日曜日の3時から、津和野町の日原地区で、半裸の男達が神輿を担いでまちを練り歩く、いわゆる「裸神輿(はだかみこし)」が行われた。

裸で家の外に出るというのも信じられないぐらい寒い季節なのだが、どういう経緯なのか、神輿を担いでゴールにまで辿り着いた頃には全身”ずぶ濡れ”になっているとのことなのだ。

そんな話を聞いただけで、ゾッとするような祭り「裸神輿」。

満を持して、その祭りに参加してみた。dsc_1606

すでに濡れている人も…いざ出陣

15時の日原庁舎前。

すでにサラシとタオルを頭に巻いた男達が大勢集まっている。

その姿は、正に”漢(おとこ)”という感じだ。

祭り前に、ビールや日本酒を飲んで、気持ちを高ぶらせる。

すでに親方にお酒をかけられ、濡れている人たちも…!

どれだけお酒を飲んでもやはり寒い。しかも天気は、どんより曇っている。

どうなることやら、と思いつつ、ついに祭りが始まった。dsc_1610

屈託のない笑顔で、凍てつくほど冷たい水をかけてくる町民たち

「ワッショイ!ワッショイ!!」

太鼓の音に合わせて、男達が声を張り上げる。神輿の後に軽トラがついてくる。運転しているのは、なぜか…ルパン…!軽トラに積まれている太鼓がかき鳴らされる。

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笛を吹いて、親方が我々を先導する。

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「ワッショイ!ワッショイ!!」

気持ち良い声が、日原の界隈に響き渡る。街頭では、町民達が我々に温かい笑顔を振りまいてくれている。

神輿はそこそこ重いが、10人以上で運んでいるため、苦になるほどの重さではない。

坂道を登っていく。

おじいちゃんやおばあちゃんが笑顔で我々を出迎えてくれる。

「ワッショイ!ワッショイ!!アアーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

田舎の戦争

ビューーーーーっと冷たい水が真上から飛んでくる。

「冷やい(ひやい)!冷やい!」という声が飛ぶ。

「これか…」という思いが頭を過る。

笛のリズムが急に速くなった。

「ワッショイ!ワッショイ!!ワッショイ!ワッショイ!!(2倍速)」

水をかけられたスポットで、神輿を左回りにものすごいスピードで回転させる。

速すぎて、もはや飛び跳ねるしかない。dsc_1623

序盤から、みんなすでにビッショビショだ。しかも、風まで吹いてきてめちゃくちゃ寒い。

見ると、先ほど笑顔を振りまいていた町民だけでなく、我々と同じ格好をした者がホースで水を撒いてくる。

自然と身体の芯からブルブルと震えてくる。こんな状態で、最後まで身体は持つのだろうか。

そうこうしているうちに老人ホームにやってきた。

老人ホームでまで水をかけられる…ということもなく、職員さん入所者さんは温かく我々を迎えてくれた。dsc_1643

一時の休息タイム。

彼らには、紅白餅を振舞った。この地方では、催し物があるたびに、このお餅が必ず振舞われる。dsc_1644

そして、老人ホーム内でも「ワッショイ!ワッショイ!!」の掛け声とともに、神輿を運んでいく。入所者さんもビックリするであろう大きな声でだ。もちろん、最後にはお餅を差し上げた。dsc_1648

老人ホームを出た後も、町民の方々がお酒やお菓子、つまみなどを我々に振舞ってくれた。

ビールや日本酒を一気飲みする。体が徐々に熱くなってきた…というより感覚がおかしくなってきた。寒いのだが寒くない。”トランス”のような状態になってきたようだ。

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中にはお布施代を下さる方達もいる。そこでも、神輿がグルグル回る回る。

何やら子供たちも集まってきた。彼らには、軽トラに積んであるこれまら紅白餅を投げていく。彼らがそこに群がってくる。

これが俗にに言う”田舎の戦争”である。

天国と地獄

”トランス状態”に入っても、水にかかる瞬間はやっぱり冷たい。

それでも、一件だけお湯をホースで舞い下さる町民がいた。

めちゃくちゃ気持ちいい…思わず、喘いでしまいそうになる。

冷たい外気、冷たい水とお湯との温度差が最高である。癖になってしまいそうだ。

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それ以降、何となくそのお湯の気持ち良さが忘れられない。変な意味での”トランス状態”である。

たまに休憩を挟みながら、行く先々で水をかけられ差し入れをいただくということを繰り返していく。

休憩中にも親方にお酒をかけられ、本当にカオスなビッショビショの状態である。

そんな休憩中に、昨年もこの祭りに参加したという方に話を伺ったところ、去年の祭りは雪混じりの雨の中行われたそうだ。想像しただけで、鳥肌がたちそうである。

そんなこんなで、祭りはいよいよ終盤へ向かう。

最後は、この「裸神輿」の主催者を神輿に乗せて回る。

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一度も落ちることなく神輿は降ろされ、「裸神輿」は幕を閉じた。

水の冷たさ、人の温かさ

終わってみると、冷たい外気もビチョビチョの身体やサラシも、もはや気持ちいい。

声を出して神輿を担いで街を練り歩くという非常にシンプルな祭りであったが、冷たい以上に楽しいという感情が勝っていた。

私は余所者であるが、そんな私にもとてもフランクに絡んでくれて、「また祭りに参加してね。」という言葉まで頂いた。

”水や外気の冷たさ”以上に、”人の心の温かさ”というのを強く感じた「裸神輿」であった。

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この「裸神輿」は、毎年11月の第二日曜日に”日原天満宮”のお祭りに合わせて開催される。100年以上の歴史を誇るお祭りであり、一時的に祭りが開催されなかった時期もあったが、15年ほど前に復活し現在に至る。

この神輿は、津和野町役場本庁舎の周辺を練り歩いている。

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(文/前田健吾)

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