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「ほんまもんの食を伝えたい」地域特産物マイスターの経営者が語る「ものづくりの原点」とは

【地域特産物マイスター×レストラン経営×ホタル事業】
津和野町在住の青木登志男さんは、三代続く農園の経営者だ。更にレストランの経営、栗を使った加工品の企画・販売も行っている。(青木さんのお菓子作りの舞台裏に迫った記事は、コチラから。)

文/宮武優太郎(2016/11/1)

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※店頭に立つ青木さん。お隣に座るのは、ちしゃの木宣伝部長の『つわっきー』

親子三代続く栗農園

青木さんが経営する農家レストラン、ちしゃの木。ここでは自家製の十割そばのほか、青木さん考案のお菓子も味わうことができる。

「お菓子作りはもちろんですが、包装紙のほか、チラシ、お店のデザインなども私が手がけさせてもらっています。そしてこのお菓子の原材料も、私の農園で獲れたもの。私は生産者であり、加工者でもあるんです。畑の土づくりから加工まで、まさに全てゼロからの手作りです」

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※『風土食』とは、『その土地の風土を詰め込んだ食材』の意。青木さんが生んだ造語だ。

青木さんが製品の加工と販売を始めたのは昭和50年ごろ。当時は生産者がお店に立って販売するなど考えられなかったそうだ。

「元々父が『津和野の里山の価値をあげよう』と一念発起し、津和野では初となる栗農園を開墾したんです。私も20代のころ農園で働き始め、生産を手がけるようになりました。土づくりからこだわってきた栗づくりです。自分自身が手がけているからこそ、自信を持っておすすめすることができます。素材を生産する身であるがゆえに、お客さんに“ほんまもん”の食を伝えることができるのではないか。これがきっかけで商品の加工を行うことになりました」

試行錯誤を繰り返す職人魂

しかしその道は困難を極めたと、青木さんは話す。

「元々お菓子作りを習ったこともなければ、加工の知識もある訳ではない。和菓子屋さんに教えを乞うても、そこは本来弟子入りをする厳しい世界です。『教えられない』『できるわけがない』と門前払いの日々でした。仕方がないのでお菓子作りに詳しい人に尋ねて回ったり、専門書を読み込んだりしながら、作ってみては改善し、作ってみては改善しの繰り返しでした。そして生まれたのが『栗千家』や『純栗ようかん』などのお菓子でした。結果、『栗千家』は新ふるさと特産品審査会で最優秀賞を受賞し、今では都内の百貨店で販売されるまでの商品となっています」

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※「ようかん作りで難しい所はどこですか?」との問いに、「全部だよ」と話す青木さん

加工場を案内してくれている最中、大きな石窯が目に入った。まさかこれも青木さんが作ったのだろうか・・・??

「はい、手作りの石窯です。制作には2年くらいかかりましたね(笑)。手作りの石窯を使って、手作りのパンを作りたかったんです(笑)。この窯の名前は『翔号』。私の孫の名前が由来です。孫の喜ぶ顔が見たかったんですね。石窯は構造上熱が逃げにくいため、パンの旨味や風味をギュッと閉じ込めるんです。石窯焼きパンは近くのスーパーなどに卸していますよ」

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※左上に『石窯 翔窯』というテープが貼ってある

ホタルの輝きを取り戻せー自ら立ち上げた畑迫の自治組織

青木さんがゼロから作り出すのは、形のあるモノだけでは無い。地域を盛り上げるための自治会組織も、青木さん自らが作りあげていった。

「私は津和野町の畑迫地区という地域に住んでいるのですが、40年前に畑迫地区の自治組織『ふるさと畑迫』を発足させました。畑迫の特産品として蕎麦を生産したり、花を楽しめる地区として国道沿いにあじさいロードを作ったりしました」

特に力を入れたのはホタルの事業だったそうだ。

「畑迫のホタルは本当に綺麗なんですよ。私の子供のころは、家の中にホタルがしょっちゅう紛れ込んでくるほどでした。高度経済成長期に河川が汚れ、ホタルたちにとって住みにくい環境になってしまった。これはいけんと思って、畑迫では生活排水を少なくしたり、なるべく農薬を使わないように促しました。また夏の1大祭り『畑迫ほたる祭り』の企画や、『ほたる音頭』という畑迫地区の音頭も作りましたね。小さい集落にも関わらず、『畑迫ほたる祭り』には3000人以上の観客が来た年もありました。『ほたる音頭』を踊りに、60人で横浜まで遠征に行ったこともありましたね。今でも夏前にはホタル見学バスツアーを走らせて、たくさんの子供たちが参加してくれていますよ」

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※現在の畑迫地区の、川辺に群れるホタルの様子

ものづくりの原点とは

青木さんは平成26年、全国で14人しか選出されない『地域特産物マイスター』に選出された。

「ものづくりは楽しいです。それがモノでもコトでも、その喜びを知ってる人は強い。ヨーロッパでは職人の仕事を奨励するため、マイスター制度を整えている国もあります。最低限の生活を保証し、ものづくりに集中できる環境を整えているんです。これは日本も見習うべきだと思っています」

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※息子の秀作さん。父と共に加工場で作業を行う

そして現在津和野町で行われている『津和野栗再生プロジェクト』にも携わっている。

「津和野の栗は京都の料亭や、高級和菓子に使われるなど高評価を得ているにも関わらず、認知度が低い。こうした状況を変えるために、津和野栗再生プロジェクトが始まりました。町内で栗の商品作りや販売をできるよう推進したり、イベントを実施したりするなどブランド化を進めています。津和野でしか作れない、オンリーワンの『風土食』を作っていきたいですね」

dsc_0580この仕事のやりがいについて、青木さんは最後にこう答えてくれた。

「私の仕事のモチベーションは、自分が手間暇かけてこだわった時間以上に、喜んでくれる人がいること。人の喜ぶ顔がみたいというのは、ものづくりの原点だと思います」

津和野の自然と、青木さんの想いが加わって生まれた『風土食』。是非ちしゃの木のお菓子の数々を、味わってはいかがだろうか。

ちしゃの木の風土菓子は津和野町ふるさと納税制度を用いても、お求めいただくことができます。詳しくは外部サイトまで。


外部サイト ふるさとチョイス「つわの風土菓子」:http://www.furusato-tax.jp/japan/prefecture/item_detail/32501/2237

お菓子についてのお問い合わせ:城下町の小さな農家レストラン「ちしゃの木」 TEL 0856-72-1455

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