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都会の若者が地域課題解決に取りくむ 〜実践者が語る「難しさ」と「やりがい」

3月27日、津和野町・須川地区まちづくり委員会による「ワクワク須川実現!プロジェクト」活動報告会が行われました。
消滅可能都市ランキングでワースト49位の津和野町の中でも、須川地区では特に人口減が大きな課題となっています。
今回のプロジェクトは、須川地区が同町の地域活性化を推進する株式会社FoundingBaseと協力して、
まちづくりの指針作成に取り組んだもの。須川地区が打ち出す集落の未来に迫ります。
取材・構成/前田 千晶(2016/5/1)

「須川」ってどんなところ?

須川。旧日原町の山間に位置する、人口193人の集落。
小さな集落ではありますが、昔から大切に守り継いできた地域行事や伝統文化が豊かな地域です。
活気に溢れるこの地域も、若年層流出や高齢化による人口減少問題に直面しています。

報告会のはじめに、株式会社FoundingBaseの小林英太郎さんは、
須川地区の魅力と課題を次のように説明してくれました。
小林さんは、国際基督教大学を休学し津和野町に地域おこし協力隊として移住、
須川地区のまちづくりをリードしています。〈小林さんのそのほか活動についてはこちら

【須川の魅力】
住民同士の仲が良く、活気がある――年齢関係なく元気、飲み会好きな陽気さ
須川愛が強い――イベント毎にアイラブ須川Tシャツを着用する、地域外へ出た子ども達が帰ってくる
美しい自然景観――自然資源が豊富(花、夕焼け、星空等)、田畑のあぜの草刈りがきちんとされている
豊かな伝統文化――残したい伝統がある(獅子舞、田植え囃子、お神輿、須川締め)
挑戦心が強い――須川のためなら一肌脱ぐという人は少なくないだろう

【挙げられた課題】
人口減少・高齢化――若者の人口流出による平均年齢上昇
農地里山整備について――耕作放棄地の増加、草刈り人員の高齢化
伝統文化について――継承者の不足
空き家関連――活用が難しい(感情的課題:子どもや孫に家を残したい、物理的課題:物の整理がつかない)

CIMG0355-2伝統的な田植え囃子、きちんと草刈りのされた丘

「この「魅力」と「課題」は、私たちが勝手に考えたものではありません(笑)。
須川のいろいろな団体にヒアリングした結果を整理したものです。
聞き取りの過程では、みなさんが抱く須川に対する気持ちや、
須川をこれからどうしていきたいのかがよく伝わってきました」

「魅力と課題をよく見てみると、それぞれが繋がっていることがわかります。
これは、課題の解決に取り組めばイイところがさらに伸びる、ということです。

さらに、須川公民館まつりで行われたアンケート結果を見てみましょう。

たくさんの方が、須川地域の活性・維持・存続のために、
1. 都会から若者を呼ぶこと、2. 自らが須川地域に関わっていくことに賛成しています」

須川公民館まつりアンケートIMG_1327
Q.自分の子どもや孫に須川へ帰ってきてほしいと思いますか?
そう思う 93人/113人(82.3%)

Q.須川地域の維持のため、都会から移住者を呼ぶことに賛成ですか?
賛成だ 102人/113人(90.0%)

Q.須川地域を活性化するためのイベント、行事に参加したいですか?
そう思う 108/113人(95.6%)

28年度の須川まちづくり委員会での取り組み〜地域の魅力を発信しよう

「さらに、私たちは須川に暮らす皆さんの意見を反映させる地域づくりを目指し、ワークショップを行いました。
テーマは「10年後の須川」。10年後に須川がどのような地域になっていてほしいか、そのためになにをするか。
たくさんの意見を共有した結果、これからの須川を支える5本の柱ができました」

スクリーンショット 2016-04-07 14.50.31

平成28年度は第一段階として「人を迎える地域づくり」を重点的に行います。
そのために、まずは地区の情報発信に取り組んでいきます。

 

スクリーンショット 2016-04-07 16.08.47

「人をむかえる地域にするためには、まず須川地区を知ってもらうことが不可欠です。
須川の魅力や出来事を効果的に発信できれば、須川に興味を持つきっかけをつくりだすことができます。
情報発信を行うことで須川に人を呼び込む契機をつくり、最終的にはUIターン者の増加を目指します。
私たちは情報発信の方法について、4つの構想を練りました」

【情報発信の4つの構想】
①インターネットによる須川の情報発信〈記事ネタ募集中、ぜひ須川公民館まで!〉
内容:須川に暮らしている人の暮らし・活動。
須川に暮らす人々が「当たり前のこと」として行っている行事や慣習を、
須川の魅力として、須川出身者や都市部に暮らす人に向けて発信します。

②年間行事ポスターの作成
内容:須川で行われる行事スケジュール
前もって町内行事の年間日程を決めることで、
須川出身者が帰ってきやすい環境、町内外問わず須川に人が来やすい環境を整えます。
また、年間日程をポスターにまとめて町外に配布することで、多くの人が須川の情報を目にできるようにします。

③既存の行事と新たなモノ・コトを組み合わせる
内容:たとえば、伝統的慣習を地元高校生を交えて行う、お祭りに合わせた宿泊体験等。
いまある魅力はそのまま活かしつつ、新たな魅力を構築し、須川を盛り上げます。

④スガワマークを作成する〈アイデア募集中〉
内容:須川まちづくり委員会のロゴマークをつくり、委員会の活動だと一目でわかるようにします。
委員会が携わるイベントや商品にこのマークを用いることで、実行者を明らかにし、
地域内外問わず安心感を生み出します。また、マークを通して地域の連帯感が強まることも期待しています。
ゆくゆくはロゴマークを使った須川ブランドの確立も視野に入れています。

「情報発信のほかにも「すがわポイント制度*1」を創設したいと考えています。
また、2014年から取り組んでいる「須川玄関環境美化事業*2」も引き続き実施する予定です」
(*1―須川に関係する活動に参加するごとにスタンプをもらえ、商品と交換できる制度)
(*2―須川地域の玄関・桐長峠周辺の環境美化、植樹等)

「また、買い物不便者の問題や草刈り人員の不足を解決するために「すがわ人材センター」を立ち上げる計画や、
大雪などの有事に対処する「安全確認マップ」の作成などのアイデアも提案されています。
この2点については、これから先進事例の視察や住民の方々を交えての勉強会などを実施して、
須川にも導入可能かどうか検証していきたいと思っています」

CIMG4402

およそ100名の方が参加した今回の報告会。須川に暮らしている方々も真剣に耳を傾けます。

地域に「若者」「ばか者」「よそ者」が入りこむまちづくり〜実践者として感じたこと

今回の「ワクワク須川実現!プロジェクト」の報告会後、引き続き小林さんからお話をうかがいました。

IMG_7669活動報告を行う小林さん

「須川の人は、みんな須川が大好きです。
しかし、そこに住むひとが簡単に地域づくりに取り組めるかと言えば、そうではありません。
住民の皆さんはそれぞれが仕事や生活、家族といった守るべきものを抱えています。
地域づくりはその一歩先の行為であり、「少し頑張らなければできないこと」なわけです。
そのため、地域が抱える問題が分かっていてもすぐに解決していくことは非常に難しいのです。
地域が好きでも、地域と向き合う時間を確保することが簡単ではないという現状があるわけですからね」

「こういった状況下では「少しずつできることからやっていく」ことしかないと思っています。
そのうえで鍵になるのは、須川4大祭(夏祭り、運動会、秋祭り、公民館祭り)ではないかと考えています。
「地域のためになにかしたい」という意識が強い須川地区ですが、
お祭りについてはそれが特に顕著にあらわれるからです。

たとえば、お祭りに合わせて住民のお子さんやお孫さん、地元の高校生を呼ぶ取り組みをしてみたらどうでしょう。
いつもと少し違ったお祭りになるはずです。こうした自分たちにできるちょっと新しい取り組みを実行してみて、
小さな変化をどのように感じたか共有するところから始めていきたいですね」

スクリーンショット 2016-05-10 14.45.55(左上から夏祭り、運動会、秋祭り、公民館まつり)

「実際にワークショップを開いたときのことです。
「そもそもワークショップとはなんなのか」という共通認識がないときは、緊張感が漂っていました。
何かわからないものは怖いですからね。でも一度、練習としてやってみたらすごく盛り上がったんです。
みんなでイメージを共有できた途端、雰囲気が一変した例ですね」

CIMG4040 (1)ワークショップの様子

「これまで活動してきた中で、意見の食い違いやすれ違いも多くありました。
けれど、「君がいたからここまでできたよ」と須川の方に言ってもらえて、僕がこの活動をする意味を感じられました。
これは嬉しかったです。
これからは昨年度取りまとめたことをもとに、住民の方とできることから一つずつはじめていきたいです。」

地方を変えるために必要だと言われている「若者」「ばか者」「よそ者」と、
地元住民が協力して取り組むまちづくりが、今まさに須川地域で行われています。

これから昨年度取りまとめられた「5つの柱」、そして「情報発信」に取り組む中で、
須川地域にどのような変化がもたらされるのでしょうか。
ツワノシゴト模様では引き続き、須川地域で行われている
「若者・ばか者・よそ者が地域に入りこむまちづくり」に注目していきます。

 

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