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2016.01.14

石見神楽「大蛇」で神話の世界に浸る

島根県西部・石見地方に伝わる石見神楽(かぐら)。
演目数は30を超え、全世代からの絶大な人気を集める伝統行事だ。津和野町では、津和野だけでなく近隣の益田や岩国の8社中が集結した「第10回共演記念大会」が行われた。
文/前田 千晶(2015/01/14)

 

大蛇とスサノオが対峙する、迫力満点の殺陣

 

以前の石見神楽は、農作業が終わったときに形式的に踊られるだけのものだった。それが今日では、大人から子どもまでが楽しめる芸能として脚光を浴びるようになっている。

芸能化につながった一因としては、もともと木製だったお面を紙製のお面へと変更したことが大きい。このことで、より激しい踊りができるようになったのだ。

そんな激しい踊りのなかでも特に人気を集めているのが「大蛇」。この日も、およそ7時間半の演目のトリを務めた。

 

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幕が開き、太鼓と笛、鐘が鳴りはじめる。いざ、老夫婦とその娘の登場だ。

 

「腰が痛くて歩けんわ」「そこに病院あるから、さっさと行って来んさい」
「ばあさん、娘はどこかね」「こんなにお客さんおるんだから、聞いたらえぇじゃないか」「おぉ、そうかね」

冒頭の老夫婦の会話は、地元のあるあるネタがつまったもの。観客からも思わず笑いがあふれる。

 

そんな和やかな空気が一変。山奥に暮らし、この国を荒らす大蛇がおばあさんに襲いかかる。おじいさんがなんとか撃退するも、次は娘が襲われる番かと悲しみにくれる老夫婦。そんな折に、天照大御神の弟・須佐之男命(スサノオノミコト)が現れる。彼は3人の置かれた状況を聞き、おじいさんに毒酒を用意させる。

 

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毒手を大蛇に飲ませ、酔わせたところを退治する作戦である。この作戦が功を奏して、6頭の大蛇はすっかり酔っ払ってしまったようだ。その様子は迫力満点。子どもたちの目も釘づけである。

 

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須佐之男命は、大蛇を一頭ずつ確実に倒す。竹と石州和紙でつくられた大蛇と、黒のビードロ地に金糸で刺繍が施された舞衣。ふたつがはらはらと入れ替わる殺陣は圧巻である。いよいよ最後の一頭となったとき反撃をくらうが、これも退治し勝利を収める。

 

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演者それぞれの舞いに演奏、きらびやかな衣装。何度みても鳥肌が立つ。子どもから大人まで思わず息を呑む石見神楽の世界を、ぜひ堪能してほしい。

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