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稲刈りと猪解体で、自然の驚異を体験してみた

耕せる土地が少なく、なかなか陽の差し込まない土地。そんなすこぶる難しい中山間地域で暮らす人がいる。
そこでの暮らしの一部を、稲刈りのお手伝いと猪解体を通じて体験してみた。
文/前田 千晶(2015/12/01)

無肥料自然栽培の稲を刈る

太陽が見えてくるまで時間のかかる山間の朝。
気温が低く、息も真っ白だ。ポケットに手を突っ込みながら、田んぼへ向かう。
今回刈るのは黒米。朝露でキラキラする稲穂が実に美しい。
早速鎌の使い方、稲の縛り方を教えていただいた。

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しばらくして、タテヨコ規則正しく苗が植わった田んぼに違和感を感じた。
普通の田んぼは縦の列しか揃っていないが、この田んぼは横も揃っているのだ。

「俺のつくる米は農薬も肥料も一切使っとらん、もちろん除草剤もね。だから除草機をかけないといけん。
そのときに、稲をタテヨコに植えれば除草機を簡単にかけられるんだよ」
タテヨコに走る田んぼは、肥料なしの土壌で稲を育てるための工夫だったのだ。

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以前、野うさぎが出たこともあったらしい稲の中にはいろんなものがいる。
クモやバッタ、ヤゴの抜け殻、てんとう虫。普段見えないモノたちが現れる。

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「米一粒ひとつぶに神様がいるのよ、だから残さず食べなさい」
ここにきて母から耳にタコができるほど言われたことに納得する。

しゃがみっぱなしで、黄金色から景色が変わらない稲刈りは骨が折れるものだが、
達成感はとても気持ちがいい。気づけば雲ひとつない空が広がっていた。

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トラックの荷台に稲を積み込み、横になれば、気分はまるでアルプスの少女ハイジだ。
一つひとつ、丁寧にしっかりと干していく。
こうもズラッと並ぶと茅葺き屋根のようだ。

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作業も終わり、気づけば昼過ぎ。
お礼に、とお昼ご飯をご馳走してくださった。

今日のごはん:
玄米ごはん、卵(お家で採れた卵、なんと有精卵)、猪の塩焼き、
サラダ、カブと柿の和え物、蒸しイモとごまペースト

醤油まで自家製というこだわりで、とても美味しかった。
卵をありがとう、ニワトリたち。

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 猪を解体、山の命をいただく

午後は、今朝ワナにかかったという猪の解体に向かった。
かかった猪は親子で、どちらもオスだという。
「まずは内臓とうて、皮へぐ(剥ぐ)のよ」
そう語るのは、この地域で20歳から猪を狩っている猪マスターだ。
私も解体に挑戦してみた。

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血抜きのため、川にさらしていたという猪の身体はとても冷たくなっていた。
ためらいながらもナイフをいれ、引っ張りながら皮を剥いでいく。
慣れた手つきで大きなナイフを扱う猪マスター。一方で皮を穴だらけにするわたし。
「ナイフは平行にするのよ。そじゃないと破れちゃうからね」
「すぐあんたができちゃったら、コッチが困るわい」
そう言って、マスターはケラケラ笑っていた。

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皮を剥ぎ、四肢をとれば一気に見慣れたお肉へと姿を変える。
ここからロープで足を吊るし、骨と肉を分けていく作業が始まるのだ。
骨の構造がわからない中、手探りで進めていくのはとても難しい。
背中の肉もとっていく。ミシミシと骨のきしむ音がする。

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「めんどくさいけぇ取らないだけで、目ぇとかも全部食べられるんよ」
その言葉通り、ほとんど無駄なく食べることができる猪を通して、
命をいただくことへの理解が実感に変わった気がする。

野菜も猪肉もたくさん頂いてしまいました。
なかなかできない経験を通じて、生きていることを実感できる素敵な1日でした。

 

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