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暴れ神輿で火のなかへ飛び込む「鷲原八幡宮秋季祭り」でワッショイしてみた

津和野川のほとりに佇み、日本で唯一原形をとどめている流鏑馬の地――鷲原八幡宮。
鎌倉時代に建てられたこの八幡宮は、津和野城の守護神として、城山の麓にある。
右大臣・左大臣の像が睨みを利かせ、樹齢1000年の一本杉がどんと構えるこの神社の名物「暴れ神輿」を担いできた。
文/前田千晶(2015/11/24)

力を合わせて神輿をかつぐ

「火ぃ蹴散らす準備はできたかあ!」。
法被に袖を通し、履きなれない地下足袋を足に慣らしていると、威勢のいい声が聞こえてきた。
暴れ神輿は、神輿を担ぎ迎え火を消しながら、およそ12キロを道のりをゆく筋肉痛必須の神輿だ。

時刻は13時過ぎ、近隣の人々がぞくぞくと集まる。いよいよ始まりのときだ。
丹色に染まった社殿から、警蹕(けいひつ)と太鼓が鳴り響く中、神主の手によって、火の神が御神体に移される。
「怪我のないように」その言葉を心にとどめ、出発だ。

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御神体の入った神輿は、一度担ぎ始めたら地面につけることは決して許されない。
そんなプレッシャーもあってか、約150キロといわれる神輿がなおさら重く感じられる。

坂道も力を合わせて進んで行く。ワッショイワッショイ、ワッショイワッショイ。
この掛け声で疲れを吹き飛ばす。キツいとき、苦しいときこそ、これが大切なのだ。

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「まだ先は長いでしょう。たくさん食べて」。
行く先々の方がそういって様々なものを振舞ってくださる。
どれもとても美味しい。力が湧いてくる気がする。

今日のごはん:おにぎり、ちらし寿司、なます、たくあん、おでん、豚汁、うどん、〆サバ、源氏巻、餃子の皮ピザ、きゅうり、みかん、りんご、柿、たくさんのお菓子、御神酒、お茶、ジュースetc……。

神輿を上下に激しく揉みながら、先へ先へと進んで行く。

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燃えさかる炎を蹴散らす

3分の2ほど進んだころにはすっかり日も落ちていた。太鼓谷稲成神社の光が帯状に見えてきた。
鷲原天神と書かれた提灯にも明かりをともす。

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なんで火の中に入っていくのか尋ねると、こんなお話をしてくれた。
「仁右衛門、治右衛門、重左衛門の3兄弟の話を知っているかぁ? 3人は紙すきだったんじゃが、人から恨まれて、殿様への献上品の和紙を髪の毛が入ったものとすり替えられてしまったんよ。それで打ち首にせぇというお触れがでちょった。それが彼らの落ち度ではなかったとすぐにわかったそうなんじゃが、そのことを伝える使者の到着が遅れてしまって、結局3人は処刑されてしまった。そのとき彼らは『この町を3回焼いてやる』と言ったそうで、それから津和野では大火事が3回起こった。火を消して歩くんは、神様のためもあるけど、そういうこともあるんよ」。

そんなふうに話しながら進むと、いよいよそのときがきた。大きく焚かれた迎え火を目の前にして思わず怖気づいてしまう。
しかし、神輿の担ぎ手に加わった以上、この迎え火から逃げてはいけない。意を決して、炎のなかへと飛び込む。

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「火のなか入っても意外と熱くないんよ」そう聞いていたけれど、熱いものは熱い。
目の前が火の粉で真っ赤になる経験はなかなかないだろう。
当然、顔は煤(すす)だらけになるが、それでも火傷は一切しないのが不思議だ。

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気づけば9時間も神輿を担いでいたらしい。
無事に八幡宮へと帰ることができたことも、支えてくれた方々と、神様の思し召しのおかげでしょう。

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